次代の男子テニス界を担うヒーローであり、宿命のライバルとしてしのぎを削るヤニック・シナー(イタリア/世界ランキング1位/23歳)とカルロス・アルカラス(スペイン/2位/22歳)。そんな両者の関係性はと言うと非常に良好であり、試合中の振る舞いを見ても互いに敬意を抱いているのは一目瞭然だ。
まだ20代前半にしてカリスマ的存在となりつつあるシナーとアルカラスの関係は、元王者のロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が築き上げたスポーツ界最高とも称される美しきライバル関係が礎になっている――そう語るのは、1989年の全仏オープンで17歳3カ月にして四大大会史上シングルス最年少優勝を達成し、コーチとしても我らが錦織圭(元4位/現66位)を指導したマイケル・チャン氏(アメリカ/53歳)だ。
チャン氏は海外テニス専門サイト『CLAY』と全仏公式メディア『RG Media』のインタビューに回答。いわく、自身がツアーで戦い始めた80年代後半はジョン・マッケンロー(アメリカ)やジミー・コナーズ(アメリカ)、イワン・レンドル(当時チェコスロバキア)といったナンバー1経験者がまだ健在で、当時のテニス界はライバル同士がオフコートで言葉を交わすことが稀であり、ピリピリとした空気に包まれていたという。特にロッカールームには、どこか冷ややかな雰囲気すら漂っていたとのことだ。
「昔のマッケンローやコナーズ、あるいはマッケンローとレンドルのような関係とは今は全く違う。あの時代には友情なんてなかった。私の前の世代はとにかく競争心が強くて、互いに口もきかないことが普通だった」
ところが時を経てフェデラーとナダルの2人が登場してから、「ロッカールームの文化が変わった」とチャン氏は語る。「コート上ではもちろん真剣勝負だが、コートを離れると彼ら(フェデラーとナダル)は誰に対しても親切だった。世界2位の選手でも、ダブルス100位の選手でも、分け隔てなく接していた。ロジャーやラファ、そしてノバク(ジョコビッチ)もそうだった。彼らがその変革の立役者だった」
その変革が後代にも受け継がれた結果、「アルカラスとシナーはとても健全なライバル関係を築いている」とチャン氏。
「アルカラスとシナー以上に次代のリーダーとしてふさわしい選手はいない。2人とも並外れた才能の持ち主で、注目を浴びることも恐れていない。最高のテニスを見せてくれる。もちろん他にも良い選手はいるが、彼ら2人が明らかに最前線にいる」
チャン氏の言葉通り、シナーとアルカラスは先日の全仏オープン決勝で“最高のテニス”を見せてくれた。大会決勝史上最長の5時間29分にも及ぶ死闘を繰り広げ、結果はアルカラスが2セットダウンから大逆転勝利。今後も幾度となく2人の若武者が記憶に残る名勝負を演じてくれるだろう。
文●中村光佑
【画像】5時間29分に及ぶ死闘!アルカラス崖っぷちから大逆転優勝!シナーとの激闘を厳選ショットで特集
【画像】カルロス・アルカラスが全仏オープン2連覇を達成!試合後の笑顔溢れる様子を特集!
【関連記事】アルカラスが全仏オープン連覇達成!決勝でシナーとの史上最長5時間29分の死闘を制す「全てにありがとうと言いたい」<SMASH>
まだ20代前半にしてカリスマ的存在となりつつあるシナーとアルカラスの関係は、元王者のロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が築き上げたスポーツ界最高とも称される美しきライバル関係が礎になっている――そう語るのは、1989年の全仏オープンで17歳3カ月にして四大大会史上シングルス最年少優勝を達成し、コーチとしても我らが錦織圭(元4位/現66位)を指導したマイケル・チャン氏(アメリカ/53歳)だ。
チャン氏は海外テニス専門サイト『CLAY』と全仏公式メディア『RG Media』のインタビューに回答。いわく、自身がツアーで戦い始めた80年代後半はジョン・マッケンロー(アメリカ)やジミー・コナーズ(アメリカ)、イワン・レンドル(当時チェコスロバキア)といったナンバー1経験者がまだ健在で、当時のテニス界はライバル同士がオフコートで言葉を交わすことが稀であり、ピリピリとした空気に包まれていたという。特にロッカールームには、どこか冷ややかな雰囲気すら漂っていたとのことだ。
「昔のマッケンローやコナーズ、あるいはマッケンローとレンドルのような関係とは今は全く違う。あの時代には友情なんてなかった。私の前の世代はとにかく競争心が強くて、互いに口もきかないことが普通だった」
ところが時を経てフェデラーとナダルの2人が登場してから、「ロッカールームの文化が変わった」とチャン氏は語る。「コート上ではもちろん真剣勝負だが、コートを離れると彼ら(フェデラーとナダル)は誰に対しても親切だった。世界2位の選手でも、ダブルス100位の選手でも、分け隔てなく接していた。ロジャーやラファ、そしてノバク(ジョコビッチ)もそうだった。彼らがその変革の立役者だった」
その変革が後代にも受け継がれた結果、「アルカラスとシナーはとても健全なライバル関係を築いている」とチャン氏。
「アルカラスとシナー以上に次代のリーダーとしてふさわしい選手はいない。2人とも並外れた才能の持ち主で、注目を浴びることも恐れていない。最高のテニスを見せてくれる。もちろん他にも良い選手はいるが、彼ら2人が明らかに最前線にいる」
チャン氏の言葉通り、シナーとアルカラスは先日の全仏オープン決勝で“最高のテニス”を見せてくれた。大会決勝史上最長の5時間29分にも及ぶ死闘を繰り広げ、結果はアルカラスが2セットダウンから大逆転勝利。今後も幾度となく2人の若武者が記憶に残る名勝負を演じてくれるだろう。
文●中村光佑
【画像】5時間29分に及ぶ死闘!アルカラス崖っぷちから大逆転優勝!シナーとの激闘を厳選ショットで特集
【画像】カルロス・アルカラスが全仏オープン2連覇を達成!試合後の笑顔溢れる様子を特集!
【関連記事】アルカラスが全仏オープン連覇達成!決勝でシナーとの史上最長5時間29分の死闘を制す「全てにありがとうと言いたい」<SMASH>