フェデラーのこのような素早い反応と行動は珍しい。
アスリートが自らの重要なスポンサーの活動を批判したり、疑問を呈することは非常に稀なケースだと言える。通常、企業は契約を結んでいる選手が何らかの不祥事を起こした場合、その『ブランド大使』から距離を置く。ゴルフのタイガー・ウッズが良い例だ。ウッズの不愉快な事例が知られるようになるや、いくつものパートナー企業が契約を解消した。
その後、フェデラーがヨットに乗っている様子がソーシャルメディアに登場したり、海路で到着できるトーナメントについて語り合うようなことも起こったが、環境問題に関してフェデラーは『お手本』ではないことを認識している。昨年12月のドバイでのインタビューで彼は、こうも語っている。
「私たちは完全に異常な生活を送っています。私のようなレベルのテニス選手は1年中、世界を飛び回っており、飛行機の移動で多くの時間を費やしているのですからね。だから、あまり飛び過ぎないようにと、注意することなどできないのです」
フェデラーは「私に罪悪感はあるのだろうか?」と自問する。
ある? ない? もしも、「ある」と答えたら、すぐさまキャリアを終わらせなければならない。それが質問に答えられない理由なのだ。だから環境と地球温暖化への関心は正直、あまり強くないといったところだ。
それでも彼の行動が間接的に環境問題にコミットしているのを忘れてはいけない。フェデラーは2009年にクレディ・スイス銀行と契約を結んだ。同社はアフリカ南部の子どもたちにより良い教育を提供する目的でロジャー・フェデラー財団に年間100万ドル(約1億800万円)を資金援助する。また同社は将来的に石炭火力発電所への融資を中止する予定で、気候に優しい戦略の追求に努めると発表している。
銀行の幹部は「次のフェデラーとの会議で、彼は何がどう進んでいるかを正確に知りたがるはずだ」と語る。ボールを追いかけるだけがテニス選手の役目という時代はフェデラーの場合、通用しないということである。
※月刊スマッシュ2020年4月号から抜粋・再編集
【写真】史上最強の王者!絶大な人気を誇るロジャー・フェデラーの「ウインブルドン2019」を振り返る!
アスリートが自らの重要なスポンサーの活動を批判したり、疑問を呈することは非常に稀なケースだと言える。通常、企業は契約を結んでいる選手が何らかの不祥事を起こした場合、その『ブランド大使』から距離を置く。ゴルフのタイガー・ウッズが良い例だ。ウッズの不愉快な事例が知られるようになるや、いくつものパートナー企業が契約を解消した。
その後、フェデラーがヨットに乗っている様子がソーシャルメディアに登場したり、海路で到着できるトーナメントについて語り合うようなことも起こったが、環境問題に関してフェデラーは『お手本』ではないことを認識している。昨年12月のドバイでのインタビューで彼は、こうも語っている。
「私たちは完全に異常な生活を送っています。私のようなレベルのテニス選手は1年中、世界を飛び回っており、飛行機の移動で多くの時間を費やしているのですからね。だから、あまり飛び過ぎないようにと、注意することなどできないのです」
フェデラーは「私に罪悪感はあるのだろうか?」と自問する。
ある? ない? もしも、「ある」と答えたら、すぐさまキャリアを終わらせなければならない。それが質問に答えられない理由なのだ。だから環境と地球温暖化への関心は正直、あまり強くないといったところだ。
それでも彼の行動が間接的に環境問題にコミットしているのを忘れてはいけない。フェデラーは2009年にクレディ・スイス銀行と契約を結んだ。同社はアフリカ南部の子どもたちにより良い教育を提供する目的でロジャー・フェデラー財団に年間100万ドル(約1億800万円)を資金援助する。また同社は将来的に石炭火力発電所への融資を中止する予定で、気候に優しい戦略の追求に努めると発表している。
銀行の幹部は「次のフェデラーとの会議で、彼は何がどう進んでいるかを正確に知りたがるはずだ」と語る。ボールを追いかけるだけがテニス選手の役目という時代はフェデラーの場合、通用しないということである。
※月刊スマッシュ2020年4月号から抜粋・再編集
【写真】史上最強の王者!絶大な人気を誇るロジャー・フェデラーの「ウインブルドン2019」を振り返る!