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海外テニス

【大坂なおみ・全米テニス名勝負集5】アメリカの15歳ガウフに勝利後の、大坂の行動に世界が感動!/2019年3回戦

内田暁

2020.09.08

10歳の頃のガウフを思い出し、涙する大坂なおみ。写真:THE DIGEST写真部

10歳の頃のガウフを思い出し、涙する大坂なおみ。写真:THE DIGEST写真部

 そして、リターンに見られる冷静で研ぎ澄まされた精神状態は、全てのプレーにも波及する。竹のようにしなやかな肢体を持つガウフは、スピードと柔軟性を生かした守備が武器。だが大坂は、打ち返されてもその度に深く踏み込み、より確実性が高く、なおかつ相手にダメージを与えるショットを打ち込んでいく。

 高い集中力を切らさぬ大坂は、第2セットは相手に1ゲームも与えることなく、最後はサービスウイナーで注目の一戦に一気にかたをつける。ガウフ贔屓の歓声もほとんど耳に入らぬほどに、彼女は「バトル」に入りこんでいた。

 試合が終わりネット際で握手を交わす時、大坂は、対戦相手の目に光るものを見つける。どこかぎこちないハグを交わし、一度は自分のベンチに戻った大坂は、荷物をまとめるガウフの肩をそっと叩くと、「一緒に、オンコートインタビューを受けましょう」と提案した。

「泣いちゃうから、ダメだよ。こんなに大勢の人の前で泣きたくない……」。そう言うガウフの両目から、みるみる涙がこぼれ出た。だがそれを見た大坂は、なお強く訴える。

「だからよ。このまま帰って泣きながらシャワーを浴びるよりも、自分の想いをここで話した方がいいって」。大坂のこの言葉にガウフは頷き、2人は肩を並べて、インタビューアーが待つコートに戻る。「私はこの試合から多くを学んだ。彼女はずっと私に優しかった。本当にありがとう」
 
 最後にガウフは大坂に向き直り、「本当にこの機会を与えてくれてありがとう。あなたのための時間を奪う気はなかったんだけれど」と、改めて謝意を述べた。

 続いてマイクを向けられた大坂は、ファミリーボックスに座るガウフの両親に、「あなた方のことを昔から見ている。ココを育ててくれてありがとう」と言うと、涙が溢れる目元を拭った。後に大坂は、この時の涙の意味を説明する。

「私が16歳の頃、ココと私は同じテニスコート場で練習していた。その時のココは……まだ10歳前後!? なのに8時頃にはコートに来て、他の人が来る前に1人で練習しているの。私にとって一番信じられないのは、そこだった。だって10歳よ……」

 その時の幼い少女が、この短期間でアーサー・アッシュ・スタジアムのセンターコートへと駆け上がってきた事実に、彼女は郷愁の涙を流していた。
 
 この夏のハードコートシーズンを迎える前、大坂は、全豪オープン以降テニスが楽しめていないこと、だからこそ、テニスを楽しみたいと意思表明していた。全米オープンの折り返し地点で実現した、高揚感と幸福感に満ちた試合――それは、彼女にとっても1つのターニングポイントとなったはずだ。

◆2019年3回戦
大坂なおみ [6-3 6-0]ココ・ガウフ

取材・文●内田暁

【PHOTO】大坂なおみ、成長を遂げた19年シーズンを写真で振り返る!
 
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