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海外テニス

大坂なおみはなぜ赤土の上で勝てないのか?「慣れ」「自信」がない背景とそれらの重要性

内田暁

2021.05.28

 クライシュテルスも大坂同様に、全米と全豪は制したが、クレーを苦手とした選手。その苦手意識が赤土から足を遠ざけたか、クライシュテルスはクレー大会をスキップし全仏に挑むこともあった。

「僕から見れば、彼女はクレーでも素晴らしいプレーをしていた。ただ、何本かミスショットが続くと途端に、疑念に襲われる。ゲームプランを疑い、打つべき時に打たず、我慢すべき場面で我慢ができない。結果を残していないと、簡単に気持ちが揺らいでしまうコートなんだ」

 クレーコートをそのように定義する名コーチは、だからこそ「なおみには、全仏の前に多くのクレーコートの試合を経験させたい」と言っていた。その意味では今回の全仏は、“チームなおみ”にとって、目論見が外れた状態で迎えることになるだろう。
 

 前哨戦2大会に参戦し、戦績は1勝2敗。その足りぬ実戦経験を補うためだろうか、開幕を4日後に控えた全仏会場で、普段はヒッティングパートナーとの練習が主の大坂が、世界1位のアシュリー・バーティと試合形式の練習をしていた。2年前の全仏女王とセンターコートで打ち合うことで、クレーでの勝負勘に磨きを掛けようとしたのかもしれない。

 前哨戦での戦績が振るわなかったこと、そして昨年の全仏オープンを欠場していたこともあり、ここパリでは大坂を優勝候補と見る向きは、メルボルンやニューヨークほどには無い。

 加えて大坂は、大会開幕を4日後に控えた夜、ソーシャルメディアで「全仏の期間中は、一切のプレス対応を行なわない」との声明文を公開した。その真意は現時点では不明な点も多く是非は一旦脇に置くが、外界を完全に遮断することで、何かしら精神面での変化は生まれるだろう。

 それが良い方向に転がれば、爆発的なパワーが解放されるかもしれない。まずは過去にせき止められてきた、3回戦を突破できるか? その壁を打ち破れば、新たな地平が見えてくるはずだ。
 
取材・文●内田暁

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