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海外テニス

大坂なおみ、全豪3回戦敗退でランキング急降下確定も「今はとてもポジティブな気分なの」と笑顔を浮かべる理由<SMASH>

内田暁

2022.01.22

「テニスを楽しめるようになった」という現在の大坂にとっては、これが新たな挑戦の始まりなのかもしれない。©Getty Images

「テニスを楽しめるようになった」という現在の大坂にとっては、これが新たな挑戦の始まりなのかもしれない。©Getty Images

 流れがめまぐるしく変わり、両者の気合い籠る「カモーーン!」の叫び声が交差するなか、試合の行方は10ポイント先取のタイブレークにもつれ込む。

 結論から言うと、勢いがモノを言うこの短期決戦を制したのは、「タイブレークが、一番リターンが良かった」と後に笑う、アニシモワ。178キロのエースで死闘にピリオドを打った20歳は、ラケットをその場に落とし、こぼれる笑みを掬うように両手で顔を覆った。

 負けはしたものの、大坂にとっても良い試合だったのは、間違いない。ただ、前年優勝者という立場を考えた時、3回戦での敗退は痛手ではある。大会後、大坂のランキングは80位台まで落ちることが、ほぼ確実。全てのツアー大会に、出たいように出られる立場ではなくなる。

 約4か月間のブランクが、今日の結果に影響したか——?

 その問いに大坂は、「私は感じなかったけれど、コーチは、事前にリターンの良い選手との試合経験があれば、結果は違っていたかもと言っていた」と応じる。ただ「これは私が選んだこと」と、選択そのものに悔いはないと断言した。

「神ではないのだから、全ての試合に勝つことは不可能」と穏やかに語る姿は、「全ての試合で勝たないとダメだと思ってしまう」と目を伏せたかつての姿勢とは対照的。

 そのような心持ちになれた理由を、彼女は次のように語った。
 
「今シーズンを迎えるにあたり、わたしは、年間を通してプレーすること、そのためには、素晴らしい態度を維持しないといけないと自分に言い聞かせた。すべてのポイントを全力で戦い、持てる力を出し切れば、観ている人たちも、それ以上を望まないということが分かった」。

 同時に彼女は、アニシモワのような若き力の台頭を嬉しく思うと、幾分興奮気味に言った。

「自分を成長させてくれる相手と対戦するのは、すごく嬉しいことでもある。私は今日の試合で、彼女のようなリターンが打てるようになりたいと思ったもの。だからすぐにでも、練習がしたい気分なの」

 でもそれは、たぶん明日ではないわね——そう付け加え、彼女はいたずらっぽく笑った。

 大きく下がるランキングは、年間を通じ世界各地を転戦する、“プロツアープレーヤー”の原点に、彼女を立ち返らせるかもしれない。

「今日の試合から多くを学んだ。次の大会に向け、今はとてもポジティブな気分なの」
 
 そう語る彼女の口角があがり、自然と穏やかな笑みがこぼれる。

 頂点を目指し山を登る過程では、一歩ごとに変わる景色を目に移し、空気の変化を肌身で感じる喜びがある。

 その新たな冒険を、大坂は純粋に楽しみにしているようだった。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】全豪OPを戦う大坂なおみの厳選ショット!

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