そこで、グリップするための溝を完全に排除し、ほぼフラットで引っかかりのないソールパターンにしたのがインドアコート用、いや“カーペットコート用”シューズなのです。日本で販売されているテニスシューズのほぼ全ブランドに、インドア用あるいはカーペット用がラインナップされています。

　その特徴は「溝がなくのっぺりしたソール」で、もはやソールパターンとは言いにくいものです。溝があっても、それはソールが適切な部分で曲がりやすいように配置された「屈曲溝」と呼ばれるもので、グリップのためのものではありません。

　こうして、できるだけカーペットとの接地面を増やすことで、「摩擦力」を大きくしてストップするのが、特徴あるカーペット用ソールの目的です。

　そして一見「のっぺらぼう」としか思えないソールに目を近づけて見てみると、非常に細かい皺（シボ）状の突起が、ソール全体に配置されています。さすがに完全なツルツルではカーペットの上でも滑ってしまうので、適度な滑り具合に調整するための微細なシボ加工のザラザラ感です。あえて言うならば、これがカーペット用のソールパターンでしょう。
  　小さなショップにはカーペット用シューズが置いていないことが少なくありません。それは、まだまだ利用購買者が多くないからです。ほんの数足しか売れないものをフルサイズで仕入れ、在庫するわけにはいきませんから。

　ショップに依頼してメーカーから取り寄せることもできるでしょうが、大型量販店では取り寄せ不可の場合もあるので、通販サイトやメーカー直販サイトを利用するのが便利です。

　従来は、インドアスクール入門者や初級者をターゲットにしたモデルしか製造販売されていませんでしたが、近年は上級者でもインドアスクールでテニスを楽しむ人が多くなっているため、上級者向けのインドア用／カーペット用モデルもラインナップされるようになりました。

　特に上級者は強い踏み込みをすることが多く、彼らにこそ、引っかからないソールが必要だとも言えるでしょう。安全で快適なプレーのため、ぜひインドア用に注目してみてください。

文●松尾高司（KAI project）
※『スマッシュ』2021年３月号より抜粋・再編集

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