専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

「毎試合良くなっている」決勝進出の青山修子と柴原瑛菜! タイトル獲得の条件は「引かずにやり続けること」【全豪OP】<SMASH>

内田暁

2023.01.28

悲願のタイトルまえあと一歩と迫った青山と柴原を待ち受けるのは、名実ともに女子ダブルスの頂点に君臨する強敵。果たしてどんな戦いが見られるのか…。(C)Getty Images

悲願のタイトルまえあと一歩と迫った青山と柴原を待ち受けるのは、名実ともに女子ダブルスの頂点に君臨する強敵。果たしてどんな戦いが見られるのか…。(C)Getty Images

 試合から約1時間後の会見では、その内訳をかみ砕いて説明する。

「タイブレークでリードしていたんですが、自分のサービスで、もったいないミスをしてしまい流れを持って行かれそうだった。そこで彼女(柴原)が踏ん張ってくれて、すごくいい雰囲気で戦っているなと、横で感じていたんです。あの声掛けにも良いエネルギーをもらって、もう1回自分を奮い立たせることができた。タイブレークではすごく、彼女に引っ張ってもらいました」

 そう語る青山は、隣に座る柴原に顔を向けて、「それを伝えたかったんです」と、優しく顔をほころばせた。

 相手は単複で幾度も大舞台を踏んでいる実力者。流れも相手に行きかけている。

 それでも柴原がポジティブな姿勢を維持できたのは、昨年の全仏オープン混合ダブルスで、優勝した経験が大きいと言った。
 
「全仏で勝てた一番の理由は、自分が良いプレーをし、それを自信に変えながらファイナルに入っていったから。今回も同じように、毎試合良くなっている感じがしている」

 かつて至った栄光への道を、再び辿っているかのようなある種の既視感は、自分を信じる何よりの根拠になる。

 一方の青山には、15年近くに及ぶツアー転戦の中で、種々の選手と対戦し、蓄積してきた膨大なデータと皮膚感覚がある。

 2人が「ぜひ決勝で戦いたい」と声を揃え、一足先にその席を確保していたシニアコワ/クレイチコワの最強ペアも、青山にとっては先の全米オープンで対戦したばかりの相手。

「決勝の相手は最初からガンガンくるタイプ。今日のように自分たちが良いプレーをしても、それでスキを見せてくれるタイプではない」

 そのように彼我の特性を冷静に分析した上で、こう続ける。

「出だしから自分たちも、相手のベースの力や攻撃的なプレーに対し、いかに引かずに自分たちのテニスをやり続けられるかが大事。もう一度、自分たちからポイントを取りにいくイメージを持てるよう、しっかり準備して頑張りたいなと思います」

 柴原の、グランドスラム決勝の舞台を踏んだ経験と、持ち前の明るく前向きな姿勢。

 青山の、豊富なデータベースと戦術眼、そして勇気要る判断を実行に移す胆力。

 それらを重ね、化学反応を生みながら、悲願の頂点へと歩みを進める。

現地取材・文●内田暁

【画像】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げる青山/柴原ら女子選手たちの厳選写真!
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号