試合から約1時間後の会見では、その内訳をかみ砕いて説明する。
「タイブレークでリードしていたんですが、自分のサービスで、もったいないミスをしてしまい流れを持って行かれそうだった。そこで彼女(柴原)が踏ん張ってくれて、すごくいい雰囲気で戦っているなと、横で感じていたんです。あの声掛けにも良いエネルギーをもらって、もう1回自分を奮い立たせることができた。タイブレークではすごく、彼女に引っ張ってもらいました」
そう語る青山は、隣に座る柴原に顔を向けて、「それを伝えたかったんです」と、優しく顔をほころばせた。
相手は単複で幾度も大舞台を踏んでいる実力者。流れも相手に行きかけている。
それでも柴原がポジティブな姿勢を維持できたのは、昨年の全仏オープン混合ダブルスで、優勝した経験が大きいと言った。
「全仏で勝てた一番の理由は、自分が良いプレーをし、それを自信に変えながらファイナルに入っていったから。今回も同じように、毎試合良くなっている感じがしている」
かつて至った栄光への道を、再び辿っているかのようなある種の既視感は、自分を信じる何よりの根拠になる。
一方の青山には、15年近くに及ぶツアー転戦の中で、種々の選手と対戦し、蓄積してきた膨大なデータと皮膚感覚がある。
2人が「ぜひ決勝で戦いたい」と声を揃え、一足先にその席を確保していたシニアコワ/クレイチコワの最強ペアも、青山にとっては先の全米オープンで対戦したばかりの相手。
「決勝の相手は最初からガンガンくるタイプ。今日のように自分たちが良いプレーをしても、それでスキを見せてくれるタイプではない」
そのように彼我の特性を冷静に分析した上で、こう続ける。
「出だしから自分たちも、相手のベースの力や攻撃的なプレーに対し、いかに引かずに自分たちのテニスをやり続けられるかが大事。もう一度、自分たちからポイントを取りにいくイメージを持てるよう、しっかり準備して頑張りたいなと思います」
柴原の、グランドスラム決勝の舞台を踏んだ経験と、持ち前の明るく前向きな姿勢。
青山の、豊富なデータベースと戦術眼、そして勇気要る判断を実行に移す胆力。
それらを重ね、化学反応を生みながら、悲願の頂点へと歩みを進める。
現地取材・文●内田暁
【画像】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げる青山/柴原ら女子選手たちの厳選写真!
「タイブレークでリードしていたんですが、自分のサービスで、もったいないミスをしてしまい流れを持って行かれそうだった。そこで彼女(柴原)が踏ん張ってくれて、すごくいい雰囲気で戦っているなと、横で感じていたんです。あの声掛けにも良いエネルギーをもらって、もう1回自分を奮い立たせることができた。タイブレークではすごく、彼女に引っ張ってもらいました」
そう語る青山は、隣に座る柴原に顔を向けて、「それを伝えたかったんです」と、優しく顔をほころばせた。
相手は単複で幾度も大舞台を踏んでいる実力者。流れも相手に行きかけている。
それでも柴原がポジティブな姿勢を維持できたのは、昨年の全仏オープン混合ダブルスで、優勝した経験が大きいと言った。
「全仏で勝てた一番の理由は、自分が良いプレーをし、それを自信に変えながらファイナルに入っていったから。今回も同じように、毎試合良くなっている感じがしている」
かつて至った栄光への道を、再び辿っているかのようなある種の既視感は、自分を信じる何よりの根拠になる。
一方の青山には、15年近くに及ぶツアー転戦の中で、種々の選手と対戦し、蓄積してきた膨大なデータと皮膚感覚がある。
2人が「ぜひ決勝で戦いたい」と声を揃え、一足先にその席を確保していたシニアコワ/クレイチコワの最強ペアも、青山にとっては先の全米オープンで対戦したばかりの相手。
「決勝の相手は最初からガンガンくるタイプ。今日のように自分たちが良いプレーをしても、それでスキを見せてくれるタイプではない」
そのように彼我の特性を冷静に分析した上で、こう続ける。
「出だしから自分たちも、相手のベースの力や攻撃的なプレーに対し、いかに引かずに自分たちのテニスをやり続けられるかが大事。もう一度、自分たちからポイントを取りにいくイメージを持てるよう、しっかり準備して頑張りたいなと思います」
柴原の、グランドスラム決勝の舞台を踏んだ経験と、持ち前の明るく前向きな姿勢。
青山の、豊富なデータベースと戦術眼、そして勇気要る判断を実行に移す胆力。
それらを重ね、化学反応を生みながら、悲願の頂点へと歩みを進める。
現地取材・文●内田暁
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