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海外テニス

「やはり上のレベルに挑んでいきたい」日本女子のエース日比野菜緒が示す世界での戦い方と後進たちへの教示<SMASH>

内田暁

2024.02.18

昨年の東レPPOで本玉真唯(左)に敗れた日比野(右)は、カタールでリベンジを果たす。後輩たちがツアーにいると「年齢は関係なく切磋琢磨できる」と言う。(C)Getty Images

昨年の東レPPOで本玉真唯(左)に敗れた日比野(右)は、カタールでリベンジを果たす。後輩たちがツアーにいると「年齢は関係なく切磋琢磨できる」と言う。(C)Getty Images

 同時に、現時点の日本女子ナンバー1にして、唯一のトップ100プレーヤーでもある日比野は、後進たちにも「挑戦」を望んだ。

「日本の選手も、もっとWTA(ツアー)に挑戦したら良いのになって思います。最近は本玉さんが上に出ていますが、(坂詰)姫野ちゃんや(内島)萌夏ちゃんも、それこそもっとトライしていってもいいんじゃないかなと。

 いくらITFでポイントを稼いでいても、結局はツアーで戦って勝っていかないといけない。ツアーに挑戦していれば、ワイルドカードに当たったり、ラッキールーザーで上がれたりというチャンスが巡ってくることもある。なのでもっと、みんな怖がらずに挑戦してほしいですね」

 そんな思いの原点には、日比野自身が若手だった頃に、先達の背を追ってきた経験がある。

 彼女の場合、最も身近なパイオニアは、昨年引退した土居美咲と、そのコーチのクリス・ザハルカだったという。

「20代前半の頃、私が一度、インディアンウェルズの予選に出られるランキングだったのに、裏の中国のITF6万ドルや8万ドルの大会に出たことがあったんです。その時にクリスから『そんな回り方をしていたら、トップになれないよ』と言われて、なるほどと思ったんです。実際に美咲ちゃんがそういう(上の大会に出る)回り方をしていたので、お手本にしたというのはありますね」
 
 かつて土居らが果たしてくれたそれらの役割を、今度は自分が担っていきたいとの思いも、今の日比野にはあるようだ。

「今思えば、美咲ちゃんたちの存在はありがたかったなって。今、本玉ちゃんがこうやって出てくれると、やっぱり私も先輩として負けたくないとか、彼女が頑張ってるから自分も頑張ろうって思えるんです。身近に日本人がいた方が、年齢は関係なく切磋琢磨できるのかなって思います」

 カタール・オープン後、自信を携え向かった現在開催中のドバイ・オープン(WTA1000)で、日比野は予選を突破し本戦の切符を勝ち取っている。

 若手の先鋒だった彼女も29歳を迎え、年齢でもランキングでも、日本テニス界を牽引する立場に立った。その背を後進に示しつつ、かつての自分を越えに行く。

現地取材・文●内田暁

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