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海外テニス

大坂なおみ、過去3連勝中の相手に“パワー”で押し切られる!「作戦があったのに遂行することができなかった」<SMASH>

内田暁

2024.03.12

ツアー離脱前よりも「勝利を大切に思える」と心の変化を口にする大坂だが、「負けた時の悲しみは、以前とまったく変わらない」ともいう。(C)Getty Images

ツアー離脱前よりも「勝利を大切に思える」と心の変化を口にする大坂だが、「負けた時の悲しみは、以前とまったく変わらない」ともいう。(C)Getty Images

「トップ10選手たちを見ても、みんなストロークの1球目から叩いてくるし、それが重要になっている。全ての選手がビッグショットを打つし、ファーストサーブが速い。今の時代、『よし、まずは10球ほどスピンをかけたボールを返し、つないでおこう』と考え、守備的にプレーする選手はいないもの」

 それが彼女の見解だ。ましてやメルテンスはダブルスでも結果を残し、サービスやリターン、そしてネットプレーにも磨きをかけている。大坂がイメージする3年前の選手とは、印象が異なるのは必然だった。

 もちろんその点は、大坂も頭では理解している。ただ、「すでに成功を収めている以上は、同じ成果を必死に求めてしまう」のだと彼女は言った。同時に、彼女はこうも続けている。
 
 時に、無知であることは幸福だとも思う。それでも、今の知識がある状態をわたしは望む。過去に戻ることはできないのだから、今を良くしないと」

「今」が「過去」よりも良い点として大坂は、「勝利を大切に思えること」を挙げた。

「感情面で、私は大きく変わったと思う。勝利を、“許し”のように思うことは確実になくなった。勝利を大切に受け止めているし、自分が今の場所に戻るためにどれだけ努力してきたか、そして他の選手たちが、わたしが妊娠していた間にプレーし続けていたこともわかっている。勝利は間違いなく、以前よりうれしいものになった」

「でもね……」と、彼女は微かに笑って続けた。

「残念なことに、負けた時の悲しみは、以前とまったく変わらないの」と。
 
 彼女がコートを離れていた1年3カ月の間にも、女子テニス界は進化した。

 その現状を理解し、勝利をうれしく受け止める彼女は、それでも変わらぬ敗戦の痛みをモチベーションに変え、「グランドスラム優勝」という明確な目標へと進んでいく。

現地取材・文●内田暁

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