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海外テニス

全仏オープン初出場で2回戦進出の内島萌夏!世界2位に敗れるも「こんなに充実した1カ月はなかった」と手応え<SMASH>

内田暁

2024.06.03

センターコートで迎えた世界2位サバレンカとの一戦(写真)には敗れたものの「色んな経験ができて、本当に最高でした」と内島は振り返った。(C)Getty Images

センターコートで迎えた世界2位サバレンカとの一戦(写真)には敗れたものの「色んな経験ができて、本当に最高でした」と内島は振り返った。(C)Getty Images

 世界最高のクレーコートで内島が、ネットを挟み相対したのは、世界2位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)。今年の全豪オープン優勝者であり、昨年9月には世界1位にも座した、トップ中のトップ選手だ。

 キャリア2度目のグランドスラム本戦で、センターコートに立てる選手は、幸福だ。同時に、高揚感や緊張に押しつぶされ、思うように動けぬ選手も珍しくはない。
 
 ただ内島は、そのようなタイプでもなかった。

「緊張はしてなかったです。朝、アップでセンターコートに入った時に『広いな』とは感じたんですけど……」

 そして、彼女は言う。「テニスコートは、同じテニスコートなので」

 コート・フィリップシャトリエだろうが、ITF大会の小さなコートだろうが、ネットの高さやベースラインの長さが変わるわけではない。ただこれまでと明確に異なったのは、世界2位が放つ、ボールの質だ。

 第1セットは序盤こそ互いにキープが続くが、第6ゲームでサバレンカが、リターンウイナーでブレークする。

 第2セットは序盤から圧力をかけ続けたサバレンカが、第4ゲームで、またもリターンウイナーでブレーク奪取。内島も激しい打ち合いの末にウイナーを叩き込んだり、ドロップショットを沈める場面もあった。だがパワー勝負になれば、当然ながらサバレンカに一日の長がある。内島のセンターコートでの戦いは、2-6、2-6のスコア、1時間2分で終幕した。
 
 試合後の内島は、どこか晴れやかな表情だった。

「正直、すごく差があったと感じた試合でしたが、今できるベストは全て出せたかなって思いました。このコートで、トップの選手と試合できたのもすごく楽しかったので、これからにつなげていきたいなと思います」

 笑みも浮かべ語る内島が、何より強烈に実感したのが、サバレンカの「バウンドした後にグッと押し込んでくるボールの重さ」。真のトップの強さを、重さを、そして、彼我の距離を自らの身体で測れた事実に、彼女は喜びを覚えていた。

 交通の要衝の町で始まった連勝街道は、日本を経て欧州を横断し、そして、全仏オープンのセンターコートで、一旦の終着を迎えた。

 その旅路を、内島は既に懐かしそうに振り返る。

「本当に充実した1カ月だったと思います。スペインから始まって、途中、サーフェスチェンジもあったり、日本で戦う普段味わえないプレッシャーだったり、色々な状況を乗り越えて、勝ち続けられた。今日は今日で、トップの選手と素晴らしいコートで戦えた。課題が見つかったところもあり、こんなに充実した1カ月はなかったのかなと思います。色んな経験ができて、本当に最高でした」

 6週間前に143位だったランキングも、今や世界の83位。全仏オープン後はしばし身体を休め、数週間後には再び、欧州の芝のコートで新しい旅が始まる。

現地取材・文●内田暁

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