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海外テニス

「女子テニス選手の賞金が高すぎる!」ドラキュラ伯爵の異名を持つ重鎮が言いたい放題

レネ・シュタウファー

2020.01.07

過去にはロジャー・フェデラーを「苦手なクレーには参戦しないズルい選手だ」と毒づいていたことも(写真右は教え子の一人であるベッカー)。(C)GettyImages

過去にはロジャー・フェデラーを「苦手なクレーには参戦しないズルい選手だ」と毒づいていたことも(写真右は教え子の一人であるベッカー)。(C)GettyImages

 男子に比べて圧倒的に不利な状況を長らく強いられていた女子テニスは、その地位向上を目指してアメリカで“解放運動”が起こった。ロビー活動の中心を担ったのはビリージーン・キング夫人やマルチナ・ナブラチロワで、2人とも歯に衣着せぬ活動家であった。そうした伝統は未だに彼の地に残っているのである。

 2016年、インディアンウェルズ大会(米国)の主催者レイ・ムーアは、思わず本音を口にしてしまった。

「女子選手はナダルとフェデラーに毎日、感謝しなければならないな。彼らのおかげで彼女たちは巨額な賞金を手にすることができるのだから――」。

 この発言は大スキャンダルとなって一気に騒動が拡大。ムーアはすぐさま大会主催者の役職を解かれたのだ。
 
 幸いにもと言うべきか、ティリアクはヨーロッパの人間であり、また絶大な権力を持ち合わせているため、誰も彼の首に鈴を付けられなかった。外交辞令が苦手な直言居士のティリアク。周囲の雑音にも一切、耳を貸さない。

 そこで付いた彼のもう1つのあだ名は、『ドラキュラ伯爵』である。命名の由来は彼がトランシルバニア(ドラキュラ発祥の地)出身だから…でもなさそうだ。

文●レネ・シュタウファー
ITWA(国際テニスライターズ連盟)正会員で、経験豊富なスイス人テニスジャーナリスト。ヨーロッパを中心に第一線で活躍しており、フェデラーやヒンギスとも親交が厚い。2018年に発刊したフェデラーをテーマにした著書は、スイスでベストセラーとなっている。

構成・翻訳●安藤正純

※月刊スマッシュ2018年7月号より抜粋・再編集
 

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