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【テニスギア講座】ラケット選びの基礎知識――面の大きさで何が変わる? あなたに合うのは?

松尾高司

2020.04.19

セレナ・ウィリアムズはパワー系選手だが、スピンをかけてコートに収めるため、104平方インチと大きめのサイズを長く愛用している。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

セレナ・ウィリアムズはパワー系選手だが、スピンをかけてコートに収めるため、104平方インチと大きめのサイズを長く愛用している。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 昨今、日本で売られているテニスラケットのフェイスサイズは、100平方インチを中心に、小さめのタイプで93程度、最大のもので125程度です。では、フェイスの大きいラケットにはどんなメリットがあるのでしょう?

 まず注目すべきは「張られているストリング(ガット)の長さ」です。ストリングが長いと、インパクト時にたわむ量が大きくなり、打球に与えるパワーが増大します。同時にスイートエリアが広いため、そこにボールを当てるのも簡単。つまり“よく飛ぶラケット”になるわけです。

 次にありがたいのが「スピンのかけやすさ」。ストリング面が広いために、面の上をボールが転がる距離が長いため……とも言われますが、それはゆっくりめのスイングの場合で、高速スイングでは転がり効果よりも接触時間の長さが効いたものと思われます。

 ただ、良いことばかりではありません。面が大きいとスイング時の空気抵抗も大きくなり、振り抜きにくくなりがちです。また反発力が高いぶん、微妙な加減で飛びに与える影響が大きくなります。
 
 一方、小さめのフェイスサイズのメリットはと言うと、まず「スイングしやすい」こと。面が小さいため、抵抗感なく素直にヘッドが走ります。これによって高速スイングがしやすくなりますね。

 次に、ストリングのスパンが短く、反発力が抑え気味になるため、意図せぬ飛び過ぎでオーバーしてしまうことが少なくなります。スイングによって与えられたパワーの分だけ飛んでくれるというわけです。

 逆に小さいサイズのデメリットは、十分な飛距離を確保するためには、相応のスイングパワーが必要になること。そして、芯で正確にインパクトするのも簡単ではありません。

 これらを総合すると、大きいフェイスは、まだ安定してスイートエリアで捉えられない発展途上の初中級者や、非力な人に向きます。また、ネット際で素早い反応が求められるダブルスプレーヤーにとっては、スイング幅が小さくても反発力を発揮できるメリットが役立ちます。

 対して、小さいフェイスが適しているのは、十分なスイングスピードがあり、ラケットのパワーアシストを期待するよりも、自分の力で飛ばしたいタイプです。コントロールを重視するプレーヤーに重宝されます。

文●松尾高司(KAI project)

※『スマッシュ』2016年10月号より抜粋・再編集

【PHOTO】ボールがつぶれ、フェイスがたわむ! 3/1000秒のインパクトの瞬間
 

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