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海外テニス

「ATP幹部は給与カットすらしていないのに…」選手間の支援金についてオペルカが疑問を呈す【男子テニス】

誉田優

2020.05.20

徹底した感染対策のもとで開催されたエキジビションマッチに出場したオペルカ。(C)GettyImages

徹底した感染対策のもとで開催されたエキジビションマッチに出場したオペルカ。(C)GettyImages

 プロの大会中止が相次ぐ中、収入を失った選手らへの金銭的支援案が議論を呼び続けている。ノバク・ジョコビッチをはじめとするビッグ3は、トップ選手である自分たちが、ランキングが低く困窮している選手らに援助するべきだと主張し、支援に向けて動き始めている。だが、この支援に対して疑問を投げかけ、一時は論争を巻き起こしたドミニク・ティームに続き、世界39位のライリー・オペルカもこの救済案に対して首を傾げている。

 海外メディア『TENNIS.com』によると、オペルカは、ATP(男子プロテニス協会)がツアー開催という彼らのすべき仕事をできていない状況で、試合がなくなって困っている選手らを助けることもできていないのに、何故トップ選手が身銭を出さなければいけないのか、と主張しているという。

「ATPは最悪の対応をしていると思う。僕たち選手は暗闇の中に放り出されたようなものだ。何をすればいいのか全くわからない。それなのにATPの幹部たちは普段と変わらない給料を受け取り続けている。WTA(女子テニス協会)の幹部たちは減給を受け入れたし、(開催直前に中止となった)インディアンウェルズ大会の一回戦ぶんの賞金を選手へ支払った。今年、ロジャー・フェデラーが勝ち取った賞金より、ATP幹部たちの給料が上回っているなんておかしな話だ」と語った。
 
 先日、ATP、WTA、ITF(国際テニス連盟)と各グランドスラム運営団体は、下位ランクの選手たちを救うために総額600万ドルの支援資金を集めたことを発表した。そして、ATP選手評議会会長のジョコビッチは、250位から700位までの選手らのために、さらに支援金を集めたいと100位までの選手に呼び掛けているが、これに対し苦言を呈する選手も多い。

 オペルカもその一人だ。「選手が他の選手にお金を出すなんてことはあってはならないけれど、この状況では必要なことだ。だから、いくらかのお金を出す。だがトップ選手たちは、この苦しい中でコーチやトレーナーへの給料も支払っている。収入がゼロだというのに。そんな選手たち同士で助けあうことを、給与カットすらしていない幹部たちが呼びかけるなんて、根本的に間違っている」とATPを批判した。

 このように考えているのは、トップ選手に限られているわけではない。231位のマルコ・トルンゲリッティも、「テニス選手は固定給ではないのだから、試合がなければ稼ぐことができない」とコメント。ATPとWTAによる支援策の案内が遅れたことを残念に思ったという。「選手とコーチたちの間には怒りが広がっている。サポートの体制が不十分だし、コミュニケーションの欠如は考えものだ。スポーツを通して生計を得ているのは選手だけじゃない。彼らの背後にいるコーチやトレーナーをないがしろにしてはならない」と怒りをあらわにした。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu_honda/instagram:yu_honda

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