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海外テニス

「これが私たちの現実」黒人選手のタウンゼントがツアーで経験した人種差別を語る【女子テニス】

Hustle

2020.06.14

黒人選手ならではのつらい経験を明かしたタウンゼント。(C)GettyImages

黒人選手ならではのつらい経験を明かしたタウンゼント。(C)GettyImages

 女子シングルス73位のテイラー・タウンゼントが、テニス・ユナイテッドのビデオインタビューで、黒人への人種差別について自身の経験談を語った。

 24歳のタウンゼントはアメリカ・イリノイ州、シカゴ出身の黒人選手だ。彼女は普段参加しているトーナメントの会場でも、黒人であるが故の“対応の差”を感じているという。

 会場出入りのため、セキュリティチェックを受ける際には、必ずと言っていいほど手荷物の確認を求められる。「他の人は誰も止められないわ。でも、私が通ろうとすると必ずバッグの中身を確認されて、身分証もチェックされる。私のコーチ(黒人)も一緒にチェックされるのよ」と、タウンゼントは嘆いた。

 こういった経験は毎週のように、プレーする世界中のトーナメントで起きているという。さらに、これまですべての黒人選手と間違われてきたとも話す。「ビーナスやセレナとか、文字通り“すべての”選手に間違われたわ。私がココ・ガウフだと言い張ってきかない人もいた。もちろん私はココ・ガウフじゃない。でも、私たちはみんな同じように見えていて、同じような人間だと思われているわ」。
 
「これが私たちの現実」と、タウンゼントは半ば諦めたように語る。現在アメリカでは、黒人への差別に対する抗議活動が激化しているが、それでも差別や偏見がなくなることはないと考えているという。

「今後も変わることはないでしょう。でもできることなら、この活動が私たち黒人にとって、より安全な環境を生み出すきっかけになり、そして多くの人々に、差別や偏見についての意識が生まれることを願っています。他の人の立場になって考え、思いやりに溢れた世の中になってほしい」と述べた。

 ジョージ・フロイドさんの死に端を発した人種差別への抗議行動は、アメリカのみならずヨーロッパやアジアにも広がりを見せている。フロイドさんの弁護士、ベンジャミン・クランプ氏は、「ジョージ・フロイドを殺したのは新型コロナウイルスのパンデミックではない。もう1つのパンデミックだ。人種差別と差別全般のパンデミックだ」と演説した。

 これらの差別は黒人だけにあらず、我々アジア人にとっても身近な存在と言えよう。人は皆平等であり優劣などない、差別は絶対にあってはならない。今回の悲しい事件をきっかけに、こういった意識が少しでも多くの人々に芽生え、誰もが過ごしやすい世の中に変わってくれることを願うばかりだ。

文●Hustle

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