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海外テニス

無冠のナンバー1、マルセロ・リオス。小柄ながら天性のバネとタッチでスーパーショットを連発!【レジェンドFILE27】

スマッシュ編集部

2020.09.06

飛びつきながらライジングで鋭いリターンを放つリオス。高等テクニックをいとも簡単にこなしてみせた。写真:スマッシュ写真部

飛びつきながらライジングで鋭いリターンを放つリオス。高等テクニックをいとも簡単にこなしてみせた。写真:スマッシュ写真部

 サンプラスが全盛を極めた1990年代後半、短期間とはいえナンバー1の座を奪った選手が何人かいる。面白いのは、テニスの中心地であるアメリカ、ヨーロッパの他に、南米のチリからもチャンピオンが生まれたことだ。

 チリ出身のプレーヤーとして世界のテニス界を賑わせたのがマルセロ・リオス。小柄ながら天性のバネとヒット感覚を持ったリオスは、リスキーなショットを無造作に成功させるなどして観客を驚かせた。また、コート内外で粗暴な言動が尽きず、「悪童」としても知られたが、それも含めてファンは彼を愛した。

 なお、リオスの成功により、後にチリからはニコラス・マスー、フェルナンド・ゴンザレスが生まれ、彼らはチリテニス界に初のオリンピック金メダルを届けることになる。
 
 リオスのプレーは実にアクロバティックだった。連続写真に選んだ、飛びつきざまに打ったバックハンドリターンにも、彼のセンスの高さが表れている。腕の使い方がしなやかで、ボールを引きつけながら、最後に手首で持っていけるのがリオスの長所(4~6コマ目)。このテクニックがあったから、彼のボールは見た目よりも伸びがあった。

 リズム感が良く、ライジングもお手の物。アガシをより柔らかくした感じの選手。それがマルセロ・リオスだった。

 リオスは4大大会のタイトルには手が届かなかった。しかし彼が98年に制した「グランドスラムカップ」は、今でいうところのツアー最終戦「ATPファイナルズ」に相当する価値の高い大会。その決勝でリオスはアガシを下している。

【プロフィール】マルセロ・リオス/Marcelo Rios(CHI)
1975年生まれ。ATPランキング最高位1位(98年3月)。身長175センチと小柄ながら、高い身体能力を生かしたプレーで90年代後半に活躍。グランドスラムでは98年全豪の準優勝が最高成績だが、同年のマイアミ・マスターズ優勝後に世界No.1に到達。南米選手として初の快挙だった。長年王者だったサンプラスのNo.1連続保持記録を止めたことでも話題となった。2004年に現役引退。ATPの歴代No.1選手26人の中で唯一GS優勝がない。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

【PHOTO随時更新】リオスをはじめ、サンプラス、アガシらレジェンドの希少な分解写真
 
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