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海外テニス

「雨が降っていなかったら100%負けていた」錦織圭の“発言”で振り返る全仏名シーン【2017年大会】

スマッシュ編集部

2020.09.27

雨による順延で自身の戦い方を取り戻して勝利を手にした、2017年大会の錦織。写真:THE DIGEST写真部

雨による順延で自身の戦い方を取り戻して勝利を手にした、2017年大会の錦織。写真:THE DIGEST写真部

 今年の全仏オープンは錦織圭にとって10回目となる節目の大会。そこでここでは、彼自身が過去に発した「言葉」にフォーカスして、数々の名シーンを振り返っていく。そのシリーズ第1弾は、雨天のため2日間にわたって実施された、2017年大会の3回戦だ。

   ◆   ◆   ◆
「雨が降っていなかったら100%負けていた」。

 錦織が試合後にそういうほど、雨の中断に助けられた試合だった。

 錦織の相手は、ATP(男子プロテニス協会)が次世代のけん引役として注目するNEXT GENの1人、21歳のチョン・ヒョン。16年はケガでランキングを落としていたが、17年のクレーシーズンでは、アレクサンダー・ズベレフやガエル・モンフィスら難敵を破るなど好調で、全仏に入ってからはシードのサム・クエリーを下していた。

 錦織はこの日、通常よりも早く練習を切り上げていた。そのため2回戦でトレーナーを呼んだ右肩の状態が危惧されたが、試合が始まるとラリー戦では主導権を握りポイントを重ねる。第1セットの終盤はややペースを落としたが、相手のミスにも助けられて2セットを連取した。

 だが、第3セットに入ると流れが変わる。それまで打ち合いで優位を築いていたが、ブレークチャンスを逃してタイブレークに持ち込まれると、相手の気合いに押されるようにポイントを失いセットを落とした。さらに第4セットでは立ち上がりから2度のブレークダウンで0-3。コートにラケットを叩きつけ悔しがった。
 
 ベンチに戻った錦織はトレーナーを呼んでいた。そして右肩ではなく腰付近を診てもっていると、突然雨が大振りになり試合は中断される。その後、試合は翌日へ順延となることが発表された。

 メンタルとフィジカルの両面で厳しい状態にあっただけに、まさに「恵みの雨」となった。落ち着く時間ができて冷静に試合を振り返れば、何をするべきかは見えてくる。

「リターンに集中して、まず1本返すこと」。翌日の晴れ渡った青空の下、錦織は思い描いたプランを遂行する。ラリー戦に持ち込めば威力よりもコントロールでポイントを重ねる。リターンのポイント獲得率は上がり、先に相手のサービスをブレークした。

 試合は錦織のペースで進む。迎えたサービングフォーザマッチではブレークを許したものの、次のゲームでブレークバックし、2日がかりの試合に終止符を打った。

◆2017年大会 3回戦
錦織圭 [7-5 6-4 6-7(4) 0-6 6-4] チョン・ヒョン

構成●スマッシュ編集部

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