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海外テニス

ジョコビッチも「失格の可能性が減る」と自虐しつつ賛同。「クレーにも持ち込む時」全仏OPで高まるビデオ判定導入の気運

内田暁

2020.10.06

全米オープンでの失敗を絡めて、ビデオ判定導入に賛同するジョコビッチ。(C)Getty Images

全米オープンでの失敗を絡めて、ビデオ判定導入に賛同するジョコビッチ。(C)Getty Images

 クレーコートで、ホークアイ(ビデオ判定)は必要か――?
 
 ここ数年、大会のたびに俎上に載せられるこの議題が、今年は一層の関心を集め熱を帯びている。火付け役となったのは、2回戦で敗れたデニス・シャポバロフ(カナダ)が、試合後にソーシャルメディアに載せた一枚の写真だ。

「When will we have Hawkeye on clay? (いつになったらクレーにホークアイを導入するの?)」

 そのような文言と共にアップされたのは、自身が敗れた2回戦、テレビ中継の一場面をキャプチャーしたもの。映っていたのは、ファイナルセットのゲームカウント5-4の局面で、インと判定された相手のリターンが、指一本分ほどラインをオーバーしていたシーンである。もし判定がアウトとなっていたら、シャポバロフは、2連続のマッチポイントを手にしていた場面でもあった。
 
 グランドスラムがホークアイによるビデオ判定を採用したのは、2006年の全米オープンが最初である。発端となったのは、その2年前。セレナ・ウィリアムズ(アメリカ)が、準々決勝のジェニファー・カプリアティ(アメリカ)戦での一つの判定を「ミスジャッジだ」と糾弾し、後に主審も誤審だったと認めた出来事だった。

 スター選手の声に呼応するようにテニスシーンに出現したホークアイは、2007年には全豪オープンとウインブルドンでも採用され、今では複数の大会が全コートに導入するまで、メジャーな存在となっている。

 それら世の趨勢に背を向けて、ホークアイを用いない唯一のグランドスラムとして残っているのが、全仏オープンだ。その理由は、クレーではボールの落下跡が可視的に残るため、カメラは不要という理論。またクレーでは、ホークアイの判定精度が低いとの話もある。それらのロジックを根拠とし、全仏トーナメントディレクターのギ・フォルジェ氏は、「うちにはホークアイは必要ない」との旗幟を鮮明にしていた。

 ただ今回ばかりは、FFTも旗色が悪い。シャポバロフの訴えを受け、多くの選手たちが彼の主張を援護射撃しているからだ。
 
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