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海外テニス

「テニスが苦痛なこともあった」コロナ禍で翻弄される日本のジュニア選手たち。全仏OP出場で得られた新たな指標とは

内田暁

2020.10.10

力試しの場が失われ、進路に悩む三井。(C)Getty Images

力試しの場が失われ、進路に悩む三井。(C)Getty Images

「ラストの年なので、ウインブルドンとUSオープンには出たかった……」
 無念を隠しきれない声で、三井駿介は言った。
 5月に18歳を迎えた彼にとって、今年はジュニア最後の1年。胸を張ってプロになるためにも、グランドスラムJr.で結果を残し、スポンサーを得たいとの思いもあった。

 そのプランは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、日を追うごとに崩れていく。ジュニアの国際大会は次々に中止になり、ウインブルドンは大会そのものがキャンセルに。開催された全米オープンも、ジュニア部門は廃止された。

 国内外の大会が消えていく中で、三井は「僕は幸い、練習はできていた方だと思います」という。ただ、軽快なフットワークをベースに配球の妙で勝負する三井のテニスは、実戦経験が不可欠だ。

 今回の全仏オープンJr.で、7ヵ月ぶりの公式戦を戦った三井は、クレー慣れしている第6シード相手に、序盤はリズムを築けない。
 
「自分は、試合勘が大切な方なので……久しぶりの試合で、なかなか勝負どころで良いプレーが出来ませんでした」

 プロ転向の一つの指標としていた、グランドスラムJr.ベスト8に届かなかった三井は、今はアメリカの大学進学も選択肢に入れているという。

 三井と共に今大会に出場した磯村志も、ジュニア最後の年を迎える高校3年生。単複ともに初戦で敗れたが、彼の場合はグランドスラムJr.初出場ということもあり、半ば諦めていた全仏に出られたことが、一つの刺激になったようだ。コロナ対策に窮屈さを覚えながらも、会場をたっぷり堪能できたため、観客が少なかったのはむしろ「良かった」のだとも言う。

「いろんな場所を探検できたし、プロの選手も普通に会場を歩いていたので、近くで見ることができました」と語る表情は初々しい。

 コロナ禍で、多くの大会がキャンセルされたのは残念ではあったが、そのぶん、国内でプロ選手と練習する機会があったことも、プラスに捉えている様子。特に頻繁にボールを打ち合ったのが、内田海智。

 初めての練習の時には、「40分で熱中症になって倒れた」と苦笑いを浮かべるほどの差を見せつけられたが、回数を重ねるごとに内田の剛球にも慣れていったという。

 目に見える結果ではないものの、この半年ほどで新たな視座を得た磯村は、「プロになろうと思っています」と明言した。
 
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