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国内テニス

“大学で身体を強くした” 今村昌倫と“世界の空気に刺激を受けた”中川直樹が決勝進出!【全日本テニス】

内田暁

2020.11.01

慶応大4年の今村は大学仕込みのフィジカルを駆使し、並み居るプロを打ち破って決勝へ駒を進めた!写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

慶応大4年の今村は大学仕込みのフィジカルを駆使し、並み居るプロを打ち破って決勝へ駒を進めた!写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

「今日は、ファーストセットは相手のしぶといプレーに付き合って自分から崩れてしまいましたが、セカンドセットからは自分から攻めて、全体としては良い試合でした!」

 語尾のトーンが跳ねるように上がり、同時に口角も上がって、目尻は下がる。
  
 慶応義塾大学4年生の今村昌倫は、手にした勝利の喜びを、その表情と声音に余すことなく込めていた。

 ジュニア時代には、国際大会等でのそこまで目立った戦績はない。特にシングルでは、「身体が弱かったので、ファイナルセットに行くと必ずケイレンする感じだった」と振り返る。

 それが今大会の準決勝では、むしろ試合が進むほどに溌剌とコートを駆け回った。

「大学で、しっかり身体を鍛えたのが大きい。下半身が大きくなって、ショットのパワーも上がったと思います」

 フィジカルの強化が自信につながり、精神的な余裕も生んでいるようだ。

 オフコートでの柔和な表情とは一転、コート上でのプレーはミスが少なく攻守のバランスに長ける。その手堅いプレーに時折、サービスライン近くまでポジションを上げてリターンを叩くなど、豪胆なプレーも差し込んでいくのも持ち味だ。

 決勝進出を「単純にすっごくうれしい気持ちでいっぱい」と相好を崩し喜ぶ大学生は、決勝にも「チャレンジ精神」で挑む。
 
 その今村を決勝の舞台で待つのは、盛田正明テニスファンドの奨学生として、13歳から米国のIMGアカデミーを拠点としていた中川直樹。スポットライトの当たる道を歩んだエリートだが、プロ転向後は2度の大ケガに見舞われ、長いトンネルに迷い込む。暗中模索の戦いの先に、ようやく光を見出したのが今大会だ。

 準決勝では今井慎太郎のネットプレーに苦しめられたが、いずれのセットも終盤で、粘り強くボールを返しブレークをもぎ取る。最初のマッチポイントでは、決めたと思ったスマッシュがアウトとジャッジされ気持ちが乱れかかる局面もあったが、「終わったことをグチグチ言っても仕方ない」と自分に言い聞かせ、過去より未来に意識を向けた。
 
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