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ケガも乗り越えて、不屈の闘志で向上し続けるデミノー【若手有望選手の成長|第4回】

スマッシュ編集部

2021.01.09

20年全米オープンで準々決勝に進出したデミノー。グランドスラムでベスト8は自身初。(C)Getty Images

20年全米オープンで準々決勝に進出したデミノー。グランドスラムでベスト8は自身初。(C)Getty Images

 最近のテニス界は若手選手の活躍が目覚ましい。そんな彼らは、今から3年前の2018年頃から、その片鱗を見せていた。当時21歳以下の“NEXT GEN”として台頭してきた選手を、元プロテニスプレーヤーの辻野隆三さんに解説してもらった。現在の立ち位置とともに検証していく。

 第4回は、根性と驚異のフットワークで現在23位に付けている21歳のアレックス・デミノー(オーストラリア)。18年は一気にランキングを177位も上げて、ATP最優秀新人賞を受賞し、年末ランキングは31位となった。19年にはツアー初優勝を含む、3大会で優勝し、キャリアハイ18位(19年10月28日付)にランクインしている。

 18年の辻野氏の評価は、「ボールのスピードが遅いため、相手は打ちたくなり、力んでミスをさせられることが多いです。その上、バックのボールの軌道が直球で、時々ドカンと打ってくるので、相手としてはやりづらいでしょう。フットワークが良く、しつこさがあり、余裕があるとじっくりとラリーに持ち込んで、勝負の場面で打っていきます」。見た目以上に、相手にとってはやりにくい選手のようだ。
 
「頑張って勝っている様子なので、まだ少し武器が足りない状態ですね」と、言うように長い試合になることも多い。加えて、しつこさが武器の身体を酷使するプレースタイルだけに、19年前半には鼠径部の怪我、20年初頭には腹部の怪我でツアーを離脱している。

 ただし本人は、「僕たちの旅には常に浮き沈みがあって、怪我も日常茶飯事だ。でも、ただただ突き進み続けるしかないんだよ」と、熱意が揺らぐことはない。

 辻野氏によると「16年ウインブルドンJr.決勝で敗れ、自分よりも先にブレークした同い年のシャポバロフをすごく意識しています」という。シャポバロフには、ツアーレベルの大会で2勝0敗と勝ち越している。不屈の闘志と、「毎日が大事なんだ」という強い向上心が結果となって表れる日がきっと来るだろう。

◆Alex de Minaur/アレックス・デミノー(オーストラリア)
1999 年2 月17 日、オーストラリア生まれ。183cm、69kg、右利き、両手BH。父はウルグアイ人で、母はスペイン人。5人兄弟の長兄。4歳でテニスを始める。豪州テニス協会のサポートを受け、スペインを拠点に活動。元1位のヒューイットがメンター。18年は1シーズンで177位も順位を上げATP最優秀新人賞を受賞。19年はツアー初Vを含む3勝をマーク。

◆解説/辻野隆三(MIRAI テニスアカデミー代表)
元デ杯日本代表。NHKやGOARAのテレビ解説でもおなじみ。ATPマスターズを含む海外の大会に頻繁に行き、情報を常にアップデート。テニス事情に精通している。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2019年1月号(2018年11月発売号)より加筆・再編集

【PHOTO】デミノーのバックハンド2018年、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 

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