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国内テニス

小学生の頃に憧れたフェデラー。プロ転向したら、まだ現役だった!~島袋将【プロが憧れたプロ|第17回】〈SMASH〉

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2021.03.01

フェデラー(左)に憧れてプロになった島袋(右)。早いテンポで攻め、ネットも奪う攻撃型テニスは、これ以上ない“生きたお手本”だ。写真:THE DIGEST写真部

フェデラー(左)に憧れてプロになった島袋(右)。早いテンポで攻め、ネットも奪う攻撃型テニスは、これ以上ない“生きたお手本”だ。写真:THE DIGEST写真部

 現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第17回は、このほどデビスカップ日本代表に初選出された島袋将だ。

   ◆   ◆   ◆

 昨年の春、早稲田大を卒業してプロに転向した島袋将。「プロになりたいと思ったきっかけはフェデラーです。子どもの頃にテレビで見て、憧れました」と振り返る。

 島袋がテニスを始めたのは小学1年生の頃だが、それは週に1回、遊びでやる程度のものだった。地元の「スポーツ少年団」では様々な種目を子どもたちに経験させる場を与えており、島袋少年は野球を希望したが、団体競技の野球は保護者の当番など負担が大きく、両親にあっさり却下されてしまった。「それならテニスでもやるか」と気まぐれで選んだのが始まりだった。

 田んぼの中に1面だけあったコートに、子どもたちが20人近く入り、好き勝手にボールを打った。「テニスというより、フェンスの向こうまでどれだけ遠くボールを飛ばせるか競争したり、完全に遊びでしたね」と島袋。

 ところが3、4年生の頃、たまたまテレビでフェデラーのプレーを見た彼は、突然テニスに目覚める。「プレーも、雰囲気も本当にカッコよかった。自分も強くなりたい、急にそう思い始めたんです」。
 
 もっとテニスをしたいと親にせがみ、別のテニスクラブに入会。週に5~6回レッスンに通い、一転して「テニス漬け」の毎日が始まった。本格的な指導を受けるようになった島袋の才能はやがて開花し、トップジュニア、学生王者、そしてプロへと、一直線に駆け上っていく。全てのきっかけはフェデラーだった。

 こうして昨春、晴れてプロになった島袋。その時、心の中で率直にこう思った。
「子どもの頃に憧れたフェデラーが、まだ現役でいるのが信じられない!」

 それは衝撃であると同時に、大きな幸運でもあった。なぜならフェデラーのテニスは、攻撃型の島袋にとって最高のお手本になるからだ。「動きが速く、タイミングも早い。ポジションを下げず、どんどんネットにも出る。そういう部分を少しでも見習いたい」。

 そしてさらに大きな幸運は、対戦できるチャンスだってゼロではないことだ。
「まだまだ遠いのはわかってますが、同じ世界にいるだけでモチベーションになる。いつ引退されてもおかしくない年齢なので、早く対戦できるように強くなりたい」

 他の競技ならともかく、選手寿命の短いテニスで、小学生時代の憧れとプロで戦えるなんて、そうあることではない。島袋の夢がかなう日を楽しみに待ちたい。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】島袋が憧れた若かりしフェデラーの雄姿
 

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