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海外テニス

相手マッチポイントでまさかのアンダーサービス。メドベージェフが明かす“仰天行動”の理由「ずっとやろうと考えて…」<SMASH>

中村光佑

2021.06.09

マッチポイントでアンダーサービスの奇襲を見せたメドベージェフ(右)だが、チチパス(左)には通じず。「重要な時にやりたかった」とのこと。(C)Getty Images

マッチポイントでアンダーサービスの奇襲を見せたメドベージェフ(右)だが、チチパス(左)には通じず。「重要な時にやりたかった」とのこと。(C)Getty Images

 現地時間6月8日、テニスの四大大会「全仏オープン」(5月30日~6月13日/フランス:パリ/クレーコート/グランドスラム)は、男子シングルス準々決勝が行なわれ、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア/世界ランク2位)は、第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/同5位)に3-6、6-7(3)、5-7のストレートで敗退した。

 そのチチパスのマッチポイントで、メドベージェフが披露したアンダーサービスが大きな話題となっている。

 クレーコートを最も苦手とし、これまで全仏オープン本戦での勝利がなかったメドベージェフ。ところが、今大会では快進撃を見せ、4回戦でもツアー屈指のクレーコーターである第22シードのクリスチャン・ガリン(チリ/23位)をストレートで破ってベスト8へ進出した。

 この相対したチチパスとは、今大会が8度目の顔合わせで、両者の過去の対戦成績は6勝1敗とメドベージェフが大きく勝ち越していた。

 試合はメドベージェフがチチパスの安定したプレーに苦戦を強いられ、第1、2セットを立て続けに落としてしまう。第3セットでは第5ゲームで先にブレークに成功したものの、第7ゲームからチチパスに3ゲームを連取され、4-5、5-6と追いすがる苦しい展開となった。

 迎えた第12ゲームでは40-0とポイントを先行しながらもマッチポイントを握られると、あろうことかここでメドベージェフがアンダーサービスを敢行。そのままネットに詰めてプレッシャーをかけたが、落ち着いて対応したチチパスにバックハンドの強烈なパッシングショットを決められて試合終了となり、自身初の全仏ベスト4入りを逃した。
 
 その後、全仏オープンの大会公式ツイッターはメドベージェフのアンダーサービスを動画で公開。絶体絶命の場面でのまさかの選択に、多くのテニスファンから驚きの声が続々と上がっていた。

 試合後に行なわれた記者会見でメディアから「なぜ相手のマッチポイントでアンダーサーブをしたのか?」と問われたメドベージェフは、「僕は試合中ずっとそれをやろうと考えていて、特に重要な瞬間が来た時にやりたいと思っていたんだ。彼(チチパス)は試合中ずっとコートの後方でプレーしていたからね。うまくいくんじゃないかと思っていたよ」とコメント。

 さらに「多分次はやらない」と冗談を口にしながらも、自身では「それは単なる戦術的なもので、アンダーサーブが間違いだったとは言えないね」と特に後悔はしていないようだ。

 ユニークな人柄で人気を集めているメドベージェフらしい幕切れだったとも言えるかもしれない。何はともあれ、キャリアのスタート当時から苦手意識を持っていた全仏の舞台で活躍を示せたことは、今後の自信につながるだろう。グラス(芝)コートシーズンでもどのような活躍を見せてくれるのか注目したいところだ。

文●中村光佑

【連続写真】相手の攻撃を無力化するD・メドベージェフの守備的バックハンド
 
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