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海外テニス

押し寄せる“パワーテニス”化の波。世界の最前線で戦う日本人選手たちに求められる変化とは?<SMASH>

内田暁

2021.06.09

現代テニスに押し寄せる変化を肌で感じる西岡(左)とダニエル(右)。(C)Getty Images

現代テニスに押し寄せる変化を肌で感じる西岡(左)とダニエル(右)。(C)Getty Images

「今の男子テニスでは、ボールを強く打つ能力が必須。男子テニスは変わってきている。強いボールを打てなければ戦っていけない」

 1年半前にダニエル太郎のコーチに就任した時、最初に取り組んだこととは何か――。その問いに対してスベン・グローネフェルトは、シンプルな言葉で答えを返した。

 グローネフェルトは、若き日のロジャー・フェデラーや、アナ・イバノビッチにマリア・シャラポワら、男女歴代ナンバー1選手を指導してきた熟練のツアーコーチだ。その彼が、この数年間で男子テニスは、激的に変化(進化)したと明言するのである。

 グローネフェルトが言う現代テニスの変質は、ダニエル自身が肌身で感じてきたことでもある。

「2年前ほど前に若い世代が出てきた時は、彼らが強くなるまで時間が掛かると思っていたし、実際に大雑把なミスもしていた。けれど今は、フィジカルもメンタルも若い選手はしっかりしている」

 全仏前のチャレンジャーで対戦した18歳のカルロス・アルカラスもまさに、新世代テニスの体現者だ。「とてもアグレッシブ。タッチも良いし、フォアに回り込んだ時にあそこまでのスピード感を出してくる選手は、トップでもなかなか居ない。ミスはまだ多いけれど、トップ選手よりボールを早くとらえている」と分析している。
 
 それら若手の急成長の理由をダニエルは「打ち続けているから、ミスも少なくしていける。それは時の流れで、レベルが上がってくるのは当然。そのことを、最近やっと受け止められるようになったんですけどね」と苦笑を浮かべながら続けた。

 ダニエルが実感する男子テニスの潮流は、上位勢の顔ぶれに克明に刻まれる。現在のトップ10のうち、25歳以下の選手のランキングと年齢、そして身長を以下に記した。

2位:ダニール・メドベージェフ(25歳・198㎝)
5位:ステファノス・チチパス(22歳・193㎝)
6位:アレクサンダー・ズベレフ(24歳・198㎝)
7位:アンドレイ・ルブレフ(23歳・188㎝)
9位:マテオ・ベレッティーニ(25歳・196㎝)

 今さら指摘するまでもなく、大型化は明らかだ。しかもいずれの選手も、フットワークや足元のボールの処理にも長ける。

 なおこの5人のうち、ルブレフを除く4名が今大会でベスト8へと進出。4回戦でズベレフに敗れた錦織は、「相手の守備がすごかった」と脱帽し、当のズブレフも「身長の割には、僕は良く動ける方だと思う。正直に言うと、同じの体格で僕より早く動ける選手はいないと思っている」と自負を言葉に込めた。
 
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