専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

「命を救うための治療費を渡したい」男子テニスのツアーコーチが癌と戦う同僚のために募金活動を開始<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.09.30

メドべージェフとコーチのセルバラ氏(右)。(C)Getty Images

メドべージェフとコーチのセルバラ氏(右)。(C)Getty Images

 テニス世界2位のダニール・メドベージェフのコーチとして知名度が上がったジル・セルバラ氏。彼は、癌と戦っている同僚のために募金活動を開始した。

 その同僚とはボルナ・チョリッチの元コーチである、クリスティアン・シュニーダー氏。2年前に大腸がんと診断された時は、患部を切断し化学療法は必要なかった。しかし、今年の全豪オープン後に腹部の癌が見つかり、化学療法が必要な状態で、現在もその治療は続いている。

 セルバラ氏はATP公式サイトに、募金を始めた理由について答えた。「特に男子ツアーではコーチ間で良いエネルギーを感じています。我々は毎日、大会会場で会い、とても仲がいいのです。私はその人間関係について考えるようになりました」と、まずコーチ同士の関係性について言及。

「コーチの誰かがトラブルに遭った時、この親密な関係が、とても深いものなのか、偽物なのか、表面的なものかがわかると考えていました。だから、キキ(※シュナイダー氏の通称)のために立ち上がり、他のコーチたちにも彼を助けたいか聞くようにしています。私にとって重要だったのは、コーチたちが、トラブルに見舞われた誰かをサポートすることができるかを知ることでした」
 
 ツアーコーチは選手のように目立つことはないが、選手を技術的に上達させるだけでなく、大会会場で次の試合に合った練習相手をアレンジするなど、果たす役割は大きい。コーチ間での情報共有がプラスに働く場合もあるだろう。そう考えると、コーチ同士が仲良くなるのは理解できる。

 その上、コーチも身体が資本の上に、選手と契約が終われば仕事がなくなるという、不安定な環境でもある。同僚のピンチに立ち上がり、サポートすることは、ツアーコーチとして働く上での安心感にもつながるのだろう。

 セルバラ氏は、テニス界がサポートしていることを、シュニーダー氏に感じてほしいと考えているようだ。「彼を助けることを続けていきたい。彼に希望、エネルギー、サポートを与え、命を救うための治療費を渡したい」と思いを語った。シュニーダー氏の回復を祈ると共に、苦境に立たされている人をサポートできるテニス界であってほしいと願う。

シュニーダー氏への募金はこちら

構成●スマッシュ編集部

【PHOTO】プレーの合間に垣間見えるトッププロの素顔

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号