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海外テニス

男子テニス元世界王者マリーが考える「優れた選手」になくて「偉大な選手」にある特別な能力<SMASH>

中村光佑

2021.11.12

元世界1のマリー(写真左)が現王者ジョコビッチ(右)の戦いぶりを例に“偉大な選手”の条件を語った。(C)Getty Images

元世界1のマリー(写真左)が現王者ジョコビッチ(右)の戦いぶりを例に“偉大な選手”の条件を語った。(C)Getty Images

 男子テニス元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/現143位)が、現世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を引き合いに、「優れた選手と偉大な選手の相違点」について言及した。

 マリーが考える優れたプレーヤーと偉大なプレーヤーの違いは「試合中の様々な状況に適応する能力にある」のだという。マリーは自身の主張を裏付けるため、先の「ロレックス・パリ・マスターズ」決勝でフルセットの接戦の末に世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)を破ったジョコビッチが、第2セットからサーブアンドボレーを多用したことを例に挙げた。

 迎えた決勝ではジョコビッチが序盤からメドベージェフの粘りのストロークに苦戦。中でもセカンドサーブでのポイント獲得率はわずか36%にとどまり、第1セットを落としてしまう。

 だが第2セット以降、ジョコビッチは自身のサービスゲームで度々サーブアンドボレーを見せ、ポイントを短くする戦術を取り入れた。するとこれが功を奏し、メドベージェフのリターンの角度を削ることに成功。ブレークポイントを握られながらもメドベージェフにプレッシャーをかけ、何とかサービスをキープして切り抜ける場面が多く見られた。

 得意のリターンゲームでは精度の高い返球で主導権を握り、ジョコビッチがメドベージェフに逆転勝利。パリ・マスターズ6度目の優勝とマスターズ最多となる37勝目を挙げ、有終の美を飾った。
 
 すでにジョコビッチとメドベージェフはツアーで10度対戦しており、ジョコビッチが6勝4敗と勝ち越している。幾度となくコート上でしのぎを削ってきただけに、お互い手の内を完全に知られているかのように思えるかもしれない。だが、マリーはこれまでの経験を踏まえ、必ずしもそうではないと考えているようだ。

「テニスで難しいのは、これから対戦する相手をビデオで見てゲームプランを考えても、試合中に相手が全く違うことをしてくる可能性があることだ」

 そのような背景から、マリーは「ノバクはパリの決勝戦で、負けているときにサーブアンドボレーを多く使った。ノバクがあれほどサーブアンドボレーを繰り出すことを想定してはいなかっただろう」と、メドベージェフの心情の変化を推察。

 そして最後に改めて「コート上で適応し、自分の頭で考えることができるかどうかが、優れた選手と偉大な選手の違いだ。彼ら(偉大な選手)は試合中に適応し、調整することができるんだ」と断言した。

 なお、マリーはワイルドカード(主催者推薦)で出場した「ストックホルム・オープン」(11月7日~13日/スウェーデン:ストックホルム/インドアハードコート/ATP250)の2回戦で第1シードのヤニック・シナー(イタリア/10位)をストレートで撃破。今季2度目となるツアーベスト8進出を果たしたものの、現地11月11日の準々決勝でトミー・ポール(アメリカ/52位)にフルセットで敗退した。

文●中村光佑

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