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海外テニス

悪童キリオスが子どもたちへの思いから再起を決意!「社会に良い影響を与えたい」<SMASH>

中村光佑

2021.12.23

コートの内外で様々な話題を提供するキリオスだが、心優しい一面も持つ。子どもたちを助けたいという思いから、テニスへの意欲を取り戻した。(C)Getty Images

コートの内外で様々な話題を提供するキリオスだが、心優しい一面も持つ。子どもたちを助けたいという思いから、テニスへの意欲を取り戻した。(C)Getty Images

 今年9月末に行なわれたレーバーカップを最後に、2021年シーズンを終了した男子テニス世界ランク93位のニック・キリオス(オーストラリア)が、やる気を漲らせている。

 現地12月16日に全豪オープンの大会公式ツイッター(@AustralianOpen)が公開したインタビュー動画に登場し、「テニスへの意欲を再び取り戻した」と明かした。

 類まれなセンスを持つ26歳のキリオスは、キャリアの初期から男子テニス界の次代を担う選手として注目を浴びてきた。だがコート上での度重なる悪態行為や主審への暴言などが取り沙汰されることも多く、その潜在能力を十分に発揮できていないのが現状だ。

 今シーズンは7月のウインブルドン後に出場した5大会でわずか1勝にとどまり、レーバーカップの記者会見では「あと4、5年はツアーでプレーするつもりだなんて嘘をつくつもりはない」と近い将来での現役引退も示唆していたほどだ。

 自身の破天荒な性格からキリオスは「悪童」の異名を持つが、一方でチャリティー活動にも積極的に取り組むなど心優しい一面も見られ、テニスファンからは絶大な人気を誇っている。2015年には恵まれない子どもたちにスポーツの機会を与えることを目的として「ニック・キリオス・ファンデーション」を設立。また、2020年1月にATPカップ(男子テニス国別対抗戦)に出場した際には母国オーストラリアが大規模な森林火災に見舞われたことを受け、サービスエース1本につき200豪ドル(当時は日本円で約1,5000円)を寄付すると発表し、大きな話題となった。
 
 昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響から出場を辞退する大会も増え、現在は世界ランキングも93位にまで低迷しているキリオス。そんな彼を再び奮い立たせているのは「自分の財団を通じて社会に良い影響を与えたい」という思いなのだという。

「俺はこれまで、テニスをする意欲を失ってしまうことが多々あったが、今は自分のためだけでなく、子どもたちや何かに不安を感じている人、自信をなくしてしまっている人たちのためにプレーしているのだと気付かされた。

 俺はニック・キリオス・ファンデーションに深く関わっており、そのことが俺の思考の多くを占めている。もう自分のためだけにプレーするわけではない。みんな(人々)のためにプレーをするんだ。全ての人に希望を与えるためにも、コート上で良い結果を出したいと思っている」

 そのキリオスは1月3日から母国で開催されるメルボルン大会(オーストラリア・メルボルン/ATP250/ハードコート)にワイルドカード(主催者推薦)での出場を予定しており、現段階では同月17日開幕の「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/グランドスラム/ハードコート)にもエントリーしている。トリッキーなプレーでファンを魅了し続けてきたキリオスには、2022年シーズンの開幕とともにコートで暴れ回ってくれることを期待したい。

文●中村光佑

【PHOTO】プレーの合間に垣間見えるトッププロの素顔
 
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