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海外テニス

世界2位のメドベージェフが放つ必要以上に身体を動かさない“安定感抜群のバックハンド”の秘密【ネクストキングのスゴ技】<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.12.31

打点に向かってリフトアップしないため、打ち終わっても頭の高さがほとんど変わらない。だからバランスが崩れにくく安定したショットを打てる。(C)Getty Images

打点に向かってリフトアップしないため、打ち終わっても頭の高さがほとんど変わらない。だからバランスが崩れにくく安定したショットを打てる。(C)Getty Images

 男子テニス界に君臨していきた「ビッグ3」(ジョコビッチ、ナダル、フェデラー)の牙城を脅かす存在、それが次代のエース候補「ネクストキング」である。その代表格ともいえるのが、ダニール・メドベージェフ、アレクサンダー・ズベレフ、ステファノス・チチパスの3人だ。

 そこでテニス専門誌『スマッシュ』では、元デビスカップ代表で引退後は五輪・デ杯・フェド杯のコーチを歴任した丸山薫氏に「ネクストキング」たちの“スゴ技”(すごい技)について解説してもらった。今回はメドベージェフ(ロシア/世界ランキング2位/25歳)だ。

 2021年1月の全豪オープン決勝でジョコビッチに敗れたが、9月の全米の決勝ではリベンジを果たして初のグランドスラムタイトルを手にしたメドベージェフ。年間を通じて数多くの大会に出られるタフなフィジカルを持ち、調子の波はあるが「負けない」という部分の意識が強く、見た目よりもメンタル的にアップダウンが少ない。勝利を目指して貪欲に戦いながらランキングを上げていく典型的なロシア人選手と言えるだろう。

 強烈なフォアハンドを軸にした攻撃が可能となり、以前のような粘り強い守備だけではなく「自分から攻めに行く」という姿勢も感じられるようになった。現代のテニスはかつてとは異なり「単発的な攻撃」だけでは勝てず、攻守のバランスが求められている。そういう点でメドベージェフは高い守備力にレベルアップした攻撃力が加わり、それが結果に反映されている。
 
 そんな彼の戦いを支えるのがバックハンドのストロークだ。破壊力はあるがミスも多いフォアハンドと比べ、バックの安定感は抜群。このバックがあるから様々な展開ができ、攻撃的なフォアも生きてくる。

 メドベージェフのバックは非常にコントロール力が高くコートの深い位置を的確に突いてくる。写真はクロスに打っている場面で、本来であれば下半身の力を活用すべくリフトアップ(上に伸びていく動作)しながら打点へと向かうが、彼はほとんど高さが変わらない。このように身体の上下動がなければ、それだけスイングも安定するため、多少威力は落ちるが、ボールの安定感は増す。

 メドベージェフはバックのクロスに安定感を求めるが、決してスローな緩いボールを打っているわけではない。それが見て取れるのがインパクトのシーンだ。

 両ヒジに柔軟性を持たせながらラケットをしならせるようにし、リフトアップはしていないが「ボールをひっぱたく」という動きはちゃんと入れている。彼の切れ味抜群のフォアハンドやバックのダウンザラインも、こうした柔軟性があるからこそ可能になる。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年1月号から抜粋・再編集

【連続写真】メドベージェフの余分な動きがない安定感抜群のバックハンド!
 
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