専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

メドベージェフの新王者確定も自国のウクライナ侵攻で喜びも半減!「ジェットコースターのような一日だった」<SMASH>

中村光佑

2022.02.26

ジョコビッチが別大会で敗れたため世界1位確定となったメドベージェフだが、戦火が気になる今は素直に喜べないようだ。(C)Getty Images

ジョコビッチが別大会で敗れたため世界1位確定となったメドベージェフだが、戦火が気になる今は素直に喜べないようだ。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「メキシコ・オープン」(2月21日~26日/メキシコ:アカプルコ/ハードコート/ATP500)でベスト4進出を果たしたダニール・メドベージェフ(ロシア/世界ランク2位)が、試合後の記者会見で世界1位確定となったことと自国のウクライナ侵攻について言及した。

 メドベージェフは現在同時に行なわれている「ドバイ選手権」(UAE・ドバイ/ATP500)準々決勝で世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が敗退したため、28日に更新される世界ランキングで1位に躍り出ることが確定。その事実を知った直後に迎えた西岡良仁との準々決勝では、終始安定したプレーで勝利してベスト4へと駒を進めた。

「(ドバイの)ノバクの試合は、彼が負けているのを見たけど、もし彼が負けたら僕がナンバーワンになるとは思わなかったよ。受け取った全てのメッセージを見て、『ああそうなんだ』と理解した」と自身が新世界王者となることは全く知らなかった様子のメドベージェフ。

 それでも「ビッグ4(ジョコビッチ、フェデラー、ナダル、マリー)」以外の選手が世界1位の座に立つのは2004年2月のアンディ・ロディック以来約18年ぶりとなるだけに、本来であれば非常に喜ばしいことであるはずだ。

 だが、それよりもメドベージェフは母国ロシアがウクライナへの軍事攻撃に踏み切ったことですでに多くの人命が奪われてしまっている状況を受け、複雑な心境を抱いているという。

「自宅からニュースを見るのも、ここメキシコで目を覚ますのも、簡単なことではなかった。ジュニア時代もプロ時代も、たくさんの国でプレーしてきたが、このようなニュースを聞くのは簡単なことではない」
 
「こういう時、テニスがそこまで重要なものではなくなるんだ。プレーするのは簡単ではなかったし、(西岡との)試合に勝てたことはうれしいけど、僕にとってはちょっとしたジェットコースターのような一日だった」

 その上でメドベージェフは「世界中で平和を促進したい」と強調。そして「世界の平和と、何があってもお互いを尊重し、団結することがいかに重要であるかということがわかるだろう。地球を大切にし、お互いを思いやること。これが一番大事なことだ」と締めくくった。

 そんなロシア・テニス界の俊英は、現地25日夜に行なわれる準決勝で世界5位のラファエル・ナダル(スペイン)と対戦する。両者は1月の全豪オープン決勝で5時間超えの死闘を繰り広げたばかりで、メドベージェフはナダルに2セットアップから大逆転負けを喫し、無念の準優勝に終わった。

 あれから約1カ月、早くもリベンジのチャンスがやってきたわけだが、果たして今回はどのような結末が待っているのだろうか。テニスファン注目の一戦となりそうだ。

文●中村光佑

【連続写真】メドベージェフの余分な動きがない安定感抜群のバックハンド!
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号