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海外テニス

ツアー最高峰の舞台で選手の練習相手を務める日本人留学生。人と人との縁が紡いだ数奇な体験<SMASH>

内田暁

2022.03.20

インディアンウェルズの会場で選手のヒッティングパートナーを務める石川瑛大さん。四日市工業高校出身で、カリフォルニアの大学に通う留学生だ。写真:内田暁

インディアンウェルズの会場で選手のヒッティングパートナーを務める石川瑛大さん。四日市工業高校出身で、カリフォルニアの大学に通う留学生だ。写真:内田暁

 カリフォルニア州で開催中のテニスツアー「BNPパリバ・オープン」会場に、練習する選手たちのヒッティングパートナーを務める、若い日本人の姿があった。

 三重県出身の19歳。石川瑛大さんは、大会会場近くの大学に通う、日本からの留学生だ。

「もちろんプロとしてもやってみたいですが、最終的には、ヤスオさんみたいなツアーコーチになりたと思っているんです」

 177センチという実際の数字より大きく見える背筋を伸ばし、彼は真っすぐに目標を語る。

 石川さんが言う「ヤスオさん」とは、西岡良仁の兄でコーチの、西岡靖雄。ツアー帯同経験の豊富な同郷の先輩は、四日市工業高校の先輩でもある。そのような縁もあり、今大会で石川さんは、良仁とも練習の機会を得た。

 テニスは、かくもグローバルなスポーツではあるが、そのコミュニティは意外なまでに狭く、人のつながりは驚くまでに濃い。石川さんが、今この“第5のグランドスラム”と称される大会会場にいるのも、人や地縁に導かれた側面が強かった。
 
「子どもの頃に三重県に移って、育ちは三重。テニスは小学3年生の時から、“三重グリーン”で始めました」

 三重グリーンテニスクラブは、伊藤竜馬を育てたことでも知られる名門。「身体を動かすのが大好きだった」という少年がテニスを選んだのは、「テニスクラブが家から近かった」ことが、最大の理由だった。

 クラブ内で順調に強くなったこともあり、テニスは楽しく、のめり込んでいったという。

「東海大会や、全国大会があると理解し始めた頃から、強くなりたいと思いました。海星中学の時は、全国中学生選手権大会で団体戦優勝しました」

 名門四日市工業高校進学後、テニスへの情熱はますます強まると同時に、海外にも目が向いていく。

「2年生の時に、高校がカンボジアのITFジュニア遠征を組んでくれたんです。その時に帯同してくれたコーチが、佐藤文平さん。すごく楽しそうで、いいなーと思いました」

 ツアー転戦の経験を持ち、指導者のみならず研究者の顔も持つ佐藤と接したことが、“ツアーコーチ”という未来像を結ぶ最初のきっかけとなる。
 
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