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海外テニス

ベンチに叩きつけたラケットが子どもを直撃!全仏オープン参戦の女子選手が「ただただ謝りたい」と猛省<SMASH>

中村光佑

2022.05.27

自身が投げつけたラケットが直撃して客席で泣き出す子どもを前に放心状態のベグ(写真左端)。(C)Getty Images

自身が投げつけたラケットが直撃して客席で泣き出す子どもを前に放心状態のベグ(写真左端)。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」で発生した“ある事件”が物議を醸している。

 事の発端は現地時間5月26日に行なわれた女子シングルス2回戦でのこと。世界31位のエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア)と対戦した同63位のイリーナ・ベグ(ルーマニア)は第1セットをタイブレークの接戦の末に失うも、第2セットを取り返してセットオールに持ち込む。だが、ファイナルセットでは第2ゲームで自身のミスからアレクサンドロワに先にブレークを許してしまう苦しい展開に。

 そしてアレクサンドロワのサービスゲームとなった第3ゲームの1ポイント目、バックハンドがアウトとなって15-0とポイントを先行されると、ベグはラケットを代えにベンチに戻ろうとした。

 その際にベグはプレーがうまくいかないことへの苛立ちからラケットをベンチに向かって投げつけたのだが、そのラケットがベンチの上で大きく跳ね、観客席に座っていた小さな子どもの元に飛んで行ってしまったのだ。

 スペインのテニス専門メディア『Punto de Break』によると、跳ねたラケットは子どもの身体を直撃し、その子は泣き出してしまったという。

 これを見ていたスーパーバイザーと主審が協議を行なう事態に発展したものの、ベグは警告を受けるにとどまり、試合はそのまま続行された。最終的にこの対決はベグが6-7(3)、6-3、6―4の逆転勝利を収め、3回戦進出を果たした。

 なおフランステニス連盟は公式声明を通じて「子どもにケガはなかった」と報告している。

 欧米スポーツメディア『ESPN』によると、試合後にベグはお詫びの印として、その子と一緒に写真撮影をしたようだ。その後出席した記者会見でベグは自身の過ちについて「私にとって恥ずかしい瞬間でした。ただただ謝りたいです」と謝罪の言葉を口にした。

「私のキャリアにおいて、過去にこのようなことはありませんでした。本当に申し訳なく思っています。もう一度言います。今回の件は本当に申し訳ありませんでした。改めて恥ずかしい瞬間だったと思います」
 
 一方で敗れたアレクサンドロワは26日の深夜に自身のインスタグラム(@ekaterina_alexandrova94)を更新。「私はベストを尽くそうとしていたのに、今日はルールが私に反していたようだわ」と綴った上で、ベグに厳格な制裁を課さなかった大会主催側への怒りをあらわにした。

「こんなことはあってはならないこと。今日の試合の後で、みんなの安全のためにルールが改善されることを願う。私たちは、自分のラケットに責任を持たないといけないのだから」

 ここ数か月にわたりテニス界では、冷静さを失ってしまった選手のコート上での問題行動が頻発している。テニスは常に孤独でメンタルコントロールが難しいとはいえ、危険行為に及ぶことがあってはならない。各統括団体内でも選手の問題行動の撲滅について積極的に議論すべきだろう。

文●中村光佑

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