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海外テニス

今季で引退する37歳のシモンが母国全仏3回戦で敗退。引退理由を語る「野獣のように強く対抗するのは難しい」<SMASH>

中村光佑

2022.05.29

シモンはフランスの四銃士として、フランステニス界をリードしてきた。(C)Getty Images

シモンはフランスの四銃士として、フランステニス界をリードしてきた。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」は現地5月28日に男子シングルス3回戦が行なわれ、今季限りでの現役引退を表明している元世界6位のジル・シモン(フランス/現158位)が登場。第20シードのマリン・チリッチ(クロアチア/同23位)に挑んだが、0-6、3-6、2-6のストレートで敗れた。

 2006年1月から昨年の6月まで、約15年間に渡ってトップ100以内をキープし続けてきた37歳のシモン。だが現在は158位と低迷し、ここ最近はチャレンジャー大会を主戦場として転戦するも、初戦敗退が目立っていた。そして現地5月8日には自身のSNSを通じて「今年いっぱいで引退することになりました」と報告していた。

 そんな中で迎えた今大会、シモンは母国ファンの大声援を背にパブロ・カレノブスタ(スペイン/18位)との初戦をフルセットの接戦の末に制すと、続く2回戦でもスティーブ・ジョンソン(アメリカ/92位)をストレートで撃破。節目のツアー500勝を飾るとともに、全仏では4年ぶりとなる3回戦進出を果たしていた。

 だがこの日の3回戦では序盤から広角にボールを打ち分けてくるチリッチに苦戦を強いられ、1ゲームも奪えずに第1セットを落としてしまう。続く第2セットもシモンは粘りを見せながらも3度のブレークを喫し、早くも2セットダウンと追い込まれる。

 第3セットでも第3ゲームで先にブレークを献上したシモンは右太ももに痛みを訴え、チェンジエンドの際にメディカルタイムアウトを要求。第5ゲームでは意地のサービスキープを見せたが、第7ゲームで2度目のブレークを許して力尽きた。

 それでも会場で見守っていた母国のファンは諦めずに戦い抜いたシモンのプレーを存分に楽しんだようだ。試合終了後に観客が「ジルコール」を送ると、シモンはそれに答えるかのように手を挙げて感謝の意を表した。
 
 その後出席した記者会見では「とてもいい人で素晴らしいキャリアを歩んでいて、僕が尊敬するマリンと戦えてよかった。今日の彼は素晴らしいプレーをしていたよ」とすがすがしい表情でチリッチとの一戦を振り返ったシモン。改めて引退を決断した理由については以下のように説明した。

「ここ最近出てきたプレーヤーたちはフィジカルの面では野獣のように強くて、背が高くて、動きも速くて、エネルギーにも満ち溢れている。ツアーで戦うことはとても厳しく、高いレベルを維持し続けるのは困難だ。例えばオジェ-アリアシムが思い切りよくフォアハンドを打ってくると、それに対抗するのはとても難しい。

 自分の身体が限界にきていて、毎日100%の気持ちでいられない。つらい毎日が続いていたし、身体の痛みも強くなってきていてもう耐えられない。長い間できる限りのことをやってきたが、これ以上は出せない」

 その中で現役最後の全仏を無事に終えられたことについては「とても、とても、とても、とても幸せだ。本当に、本当に、本当に幸せなことで、やるべきことはやった」と感慨深げに語り、会見を締めくくった。

 とにかく粘るラリーで、日本のファンからは「沼」の愛称で親しまれてきたシモン。キャリアに別れを告げるその日まで、彼のプレーを目に焼き付けておきたいところだ。

文●中村光佑

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