専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
レッスン

【テニスギア講座】ガットのテンションはどう決めればいい? 昔と今では色んな条件が違うことに注意<SMASH>

松尾高司

2022.07.17

プロ選手は必ず複数本のラケットを試合コートに持ち込む。微妙にガットの張りの強さが違う場合もあり、最適なものを選べるように準備している。写真:THE DIGEST写真部

プロ選手は必ず複数本のラケットを試合コートに持ち込む。微妙にガットの張りの強さが違う場合もあり、最適なものを選べるように準備している。写真:THE DIGEST写真部

 ストリング(ガット)の張り替えをお店で依頼する時「テンションは幾つにしますか?」と必ず聞かれます。一般的な単位は“ポンド”で、「52ポンドでお願いします」などと言いますね。その「テンション」って何のことか、あなたは知っていますか?

 テンションは「張ってある強さ」ではなく「張り上げる時に糸を引っ張る力」のこと。要するにマシンの設定数値であって、張り上がった結果ではありません。つまり、同じテンションを指定しても、マシンや張る人の差によって結果は違うということ。A店の50ポンドとB店の50ポンドは、必ずしも同じ張り上がりではないのです。

 さて、ベテランの方はご存知でしょうが、昔は60ポンドと指定したのが、今では50ポンド指定くらいで同じ状態に仕上がるようになっています。理由は、ストリンギングマシンが劇的に進化したからです。

 かつて主流だったバネ式マシンは、テンション設定がダイヤルによる手動式でした。ところが30年ほど前に登場し、今日では大半のショップが使う電動式マシンは、設定がボタン操作によるデジタル式の正確さ。

 またバネ式では、引っ張る力が指定テンションに達するとガチャッとロックされ、そこからは引っ張らないため、時間経過とともに糸が伸び、指定値以下の状態になってしまいます。一方、電動式はロックせずに引っ張り続けるため、とても正確です。結果、昔より10ポンドほど強く張り上がるので、指定数値を下げて依頼するようになったのです。
 
 ラケットのカタログを見ると、スペック項目の中に「推奨テンション」というのがあります。これが意味するところは何か?

 昔は「フレームの耐久安全範囲」(破損の場合の保証範囲)を示すメーカーが多かったのですが、現代ではテンションが低すぎてもフレームの性能が十分に発揮できないと考えるメーカーが増え、「この範囲で張るといい感じですよ」という意味で推奨テンションが使われるようになりました。

 ただ、ラケットごとに細かく「これくらいがいい」と示すメーカーと、「この範囲なら、あとはお好みで」とユーザーに任せる場合とがあります。

 これらのことを踏まえて、テンションをどう決めるべきか考えてみましょう。同じフレームでも、使う人のスタイルや好みによって選ぶガットやテンションは違うものです。

 例えば柔らかい打球感が好きな人は、ナイロン系マルチフィラメントを張るか、低めのテンションで張る場合が多いですね。その方がホールド感が高くなります。

 逆にガンガン叩くタイプは、硬いポリエステル系を選ぶか、ハイテンションで張ることが多く、ボールをつぶした後に強く弾き出す感じを好む傾向があります。

 それぞれ「いい感じになる張り上げテンション」は違うので、その範囲内で最も自分に合う組み合わせを探してください。ただ、柔らかいマルチを極端なハイテンションで張ったり、ポリをローテンションで張るのは、ガットの根本的な良さを引き出せないので避けましょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2020年11月号より抜粋・再編集

【PHOTO】ボールがつぶれ、ストリングがたわむ! 3/1000秒のインパクトの瞬間
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号