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海外テニス

【プロの観戦眼21】想定外のプレーで相手を引っかき回すムゼッティ。そのファンタジスタぶりに注目!~小山慶大<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.07.20

前に入ってのサービスリターンで、強打するのかと思いきや、ドロップショットを落としたムゼッティ。相手の意表を突く創造的なプレーが持ち味だ。右下は小山慶大プロ。写真:真野博正、滝川敏之

前に入ってのサービスリターンで、強打するのかと思いきや、ドロップショットを落としたムゼッティ。相手の意表を突く創造的なプレーが持ち味だ。右下は小山慶大プロ。写真:真野博正、滝川敏之

 このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。第21回の解説は、日本ランキング最高23位、現在はジュニア育成の名門「Fテニス」でコーチを務める小山慶大プロだ。

 小山プロが推すのは、イタリア期待の若手、20歳のロレンツォ・ムゼッティ。特定のショットのテクニックではなく、その使い方を見てほしいという。

「ムゼッティは“ファンタジスタ”です。想定外のことをしてくれるから、一般のファンもテレビで見ていて楽しめると思います」とのこと。

 ムゼッティはトッププロの中では線が細く、バックは片手打ちだ。力だけでは勝てないため、「相手のポジショニングをすごくよく見ていて、相手が嫌がることをするんです」と小山プロは分析する。

「例えば、普段は下がってラリーしているのに、いつの間にか前に入ってドロップショットを決める。あるいは、走らされて厳しい状況でも相手を見て、いない所にうまく返球する。はたまた、下がらされて守備的な状況なのに、バックの深い所からムーンボールではなくストレートに強打したりする。挙げればきりがありません」
 
 そんな臨機応変な切り返しができるのは、相手を見ているからこそである。「自分が打ったボールに相手がどう反応するのかを常に見ているから、隙を突けるわけです」と小山プロ。それが、ポジショニングの良さや、前に入るタイミングのうまさ、機敏な動きにつながっているという。

「相手の予測を外し、気持ち良くプレーさせないのがムゼッティのテニスです。言ってみれば、狙って相手を引っかき回せる稀有な選手ですね」

 これは見ていて楽しいし、ベテランの愛好家などは自分の戦術の参考にもなるだろう。そのファンタジスタぶりを、ぜひ皆さん自身の目で確かめてほしい。

◆Lorenzo Musetti/ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)
2002年3月3日、イタリア・カッラーラ生まれ。身長185cm、78kg、右利き、片手BH。4歳からテニスを始める。19年全豪オープンJr.に優勝し、ジュニアの世界ランキング1位を経験。20年イタリア国際ではワウリンカと錦織から金星を挙げ注目される。21年全仏ベスト16、自己最高ランキングは51位(22年5月9日)。得意ショットはフォアハンドで、好きなサーフェスはクレー。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】前に入ってのリターンでドロップショットを放ったムゼッティ「30コマの超連続写真」
 

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