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海外テニス

「本当にほっとする」21歳のオジェ-アリアシムが9度目の正直で掴んだツアー初優勝を回顧<SMASH>

中村光佑

2022.08.02

才能は認められながらもツアー優勝がなく苦しい時期を経験したオジェ-アリアシム。(C)Getty Images

才能は認められながらもツアー優勝がなく苦しい時期を経験したオジェ-アリアシム。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク9位のフェリックス・オジェ-アリアシムが、現地7月30日にYoutubeで公開されたATP(男子プロテニス協会)のインタビュー動画に登場。今年2月のABN AMROワールドテニス(オランダ・ロッテルダム/ハードコート/ATP500)で悲願のツアー初優勝を飾った当時の心境を振り返った。

 2017年にプロ転向を果たし、持ち味の強烈なサービスやストロークを生かしたアグレッシブなプレーで数々の強敵を打ち破ってきたオジェ-アリアシム。昨年の全米オープンでは自身初のグランドスラムベスト4入りを果たし、同年11月にはキャリア初のトップ10入りを達成。四大大会20勝を誇る男子テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー(スイス)と同じ誕生日(共に8月8日)でもあることで知られる21歳は現在も凄まじい勢いで成長を続けている。

 そんな彼にとって鬼門のステージとなっていたのがツアー決勝の舞台だ。実はオジェ-アリアシムは初タイトルを手にするまで、8度ツアー決勝に進出しながらも0勝8敗といずれも敗れていたのだ。だがプロになってから約5年、ようやくロッテルダムで最高の瞬間がやってきた。決勝ではほぼ同世代で世界のトップをひた走るステファノス・チチパス(ギリシャ/現5位/23歳)をストレートで退け、見事に「9度目の正直」を果たした。
 
 約3年にわたってあと一歩のところでタイトルを逃す状況が続いていたことから、カナダ男子テニス界のニューヒーローは優勝直後も「幸せな気分ではあったけど、コート上では(自分の中にある)全ての感情を感じ取ることはできなかった」そうだ。それでも「Facetime(ビデオ通話アプリ)で両親と話した時には感情がこみ上げてきた」と語り、家族で喜びを分かち合ったという。

 ただ十分なポテンシャルを持ちながらも、周囲からの期待になかなか応えられなかったことは相当苦しかったようだ。とてつもなく長い道のりを経て待望のツアー優勝を手にした時の安堵感をこう表現する。

「ファイナルで負けた時のつらさや、今までやってきたことを思い出すと、(優勝できたことは)本当にほっとするんだ。これまでのストレスが一気に解消される感じというのかな。こうして選手としての感情が生まれるのだと思う」

 もちろんこれで満足したわけではない。インタビューの最後には「まだこれ(ツアー初優勝)はスタートに過ぎない。もっと高い目標を掲げているよ」と意気込んだオジェ-アリアシム。その具体的な“目標”については明らかにしなかったものの、今後も更なる高みを目指していく心構えだ。

文●中村光佑

【PHOTO】分解写真が明かす絶妙なバランスで撃たれるオジェ-アリアシムの秀逸スマッシュ!
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