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海外テニス

冷遇されるも見事に全米OPの頂点に立ったシフィオンテク。最後は大会側の粋な計らいに笑顔「誰が入れてくれたの⁉」<SMASH>

内田暁

2022.09.12

4度しか立ったことのないセンターコートで1位の貫禄を見せたシフィオンテク。(C)Getty Images

4度しか立ったことのないセンターコートで1位の貫禄を見せたシフィオンテク。(C)Getty Images

 銀のトロフィーを高々と掲げるイガ・シフィオンテクに、煌びやかな紙テープと共に、万雷の拍手が降り注いだ。観客席のそこかしこでは、赤と白のポーランド国旗が揺れる。

 セレナ・ウィリアムズの引退興行的な熱に沸いた一週目を経て、大会13日目に迎えた女子決勝戦。最後にセンターコートに立ち、2万5千人に迫る大観衆の前で頂点を懸けて戦ったのは、シフィオンテクと、チュニジアのオンス・ジャバー。いずれも今回が初の全米オープンテニス決勝戦であり、それは各々の出身国にとっても「史上初」の偉業であった。

 シフィオンテクは今大会の開幕戦を、2番コートに位置づけとなる、ルイアームストロングスタジアムで迎えている。

 時の世界1位はセンターコートで初戦を戦うのが慣例のグランドスラムにおいて、やや異例な配置だ。ただ同日に、今回が最後の全米オープンと予想されるビーナス・ウィリアムズ、そして2度の全米優勝者の大坂なおみと、地元アメリカのダニエル・コリンズの一戦が組まれたことを思えば、いささか仕方のない措置でもあった。

 シフィオンテクがようやくセンターコートに姿を現したのは、2回戦。これが彼女にとって、実にキャリア初のアーサーアッシュスタジアムだった。
 
 世界最大のテニス専用アリーナであるアーサーアッシュスタジアムは、その広さゆえボールへの距離間がつかみにくく、ボールの飛び方も他のコートと違うと言われる。何より、観客の小さな話し声も上空の半分ほどを覆っている屋根にこだまし、騒音が絶えることがない。

「難しいコートだと噂には聞いていたけれど、やっと実感することができた」

 いずれ必要になるその経験を踏めたことを、世界1位は、まず安堵しているようだった。

 ところが彼女の試合は、その後3回戦、そして4回戦でもアーサーアッシュスタジアムに入らない。第1シードが再び世界最大のコートに戻ってきたのは、準々決勝だった。

 決勝戦のカードが、ポーランドとチュニジアの組み合わせになったことで、大会サイドとしてはもしかしたら、興行的側面を危惧したかもしれない。
 
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