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海外テニス

女子テニス国別対抗戦「日本対ウクライナ」両監督が試合前会見で複雑な心境語る!<SMASH>

内田暁

2022.11.09

大会を通して「ウクライナの現状を知ってほしい」と語ったフィリマ監督(右)。写真左は今大会に参戦する若手ホープのマルタ・コスチュク。(C)Getty Images

大会を通して「ウクライナの現状を知ってほしい」と語ったフィリマ監督(右)。写真左は今大会に参戦する若手ホープのマルタ・コスチュク。(C)Getty Images

 11月11~12日にかけて、東京・有明コロシアムで開催される、テニスの国別対抗戦「ビリーン・ジーン・キング・カップ」の、日本対ウクライナ戦。

 開幕に先駆けて9日には両国の監督が会見。ウクライナがロシアの侵攻により苦しい状況に置かれていることを踏まえ、両国監督ともに開催できたことにまずは感謝し、種々の感情が入り混じる胸中をも明かした。

「これが、現在のウクライナ・テニスセンターの姿です。関心のある方はどうぞ見てください」

 会見終了後——。

 ウクライナ監督のミハイル・フィリマは、そう言うと自身のスマートフォンを取り出し、集った報道陣に示した。

 画面に映し出されたのは、監督自身が撮影したテニスセンターの写真。ただそれは一見して、とてもではないが、テニス関連の施設とわかるものではない。

 瓦解した柱や石壁、そしてベンチがかろうじて残っているのみ。

「これがクラブハウス」「これがコート」の言葉と共に次々に示される写真も、いずれも瓦礫ばかりである。

 ウクライナのテニスセンターが位置するのは、首都キーウ郊外のブチャ。今年2月にロシア軍の侵攻が始まった時、真っ先に占拠され、1カ月にわたり蹂躙された地域である。

「選手たちは、当然ながらウクライナでは練習ができません。首都のキーウですら、電力や水が供給できず、命に係わる問題が起きかねない状況だからです」

 フィリマ監督は、沈痛な面持ちでそう明かす。
 
「私やコーチはウクライナから来ましたが、選手たちはそれぞれが居るヨーロッパから直接、東京にやってきました。(リドミラ・)キチェノクは直前までWTAファイナルズの試合に出ていたので、開催地のアメリカから直接来ています」

 そうして、各々の戦いの場から集った日本では、「会場からホテルまで、とても快適な環境を用意して頂き感謝しています」と謝意を述べた。

「現時点の私たちにとって何より大切なのは、我々の国を代表し、国旗を示し、ウクライナで何が起きているかを広く知ってもらうことです」

 それは「選手たちも同じはず」と、監督はチーム全体の想いを代弁した。
 
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