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国内テニス

【伊達公子】杉山愛氏が来年から日本代表監督に。女子選手が求めるのは信頼・平等・平等性の中の特別感<SMASH>

伊達公子

2022.11.11

「選手との信頼感を育てる別の方法を見いだしていく」ことも必要だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「選手との信頼感を育てる別の方法を見いだしていく」ことも必要だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 今日から女子テニス日本代表戦ビリー・ジーン・キング杯が開催されます。数か月前には来年からの日本代表新監督が発表されました。男子は添田豪君、女子は杉山愛ちゃんになります。

 添田君は、デ杯でプレーしている時から、選手からの信頼度が高いと聞いていました。特に男子の場合は、選手からの信頼が監督に求められる大きな部分なので、最適な人材だと思います。

 今までの岩渕聡監督も、選手との近い関係を作ってきているので、それは引継いでほしいですし、ダブルス強化も続けてほしいですね。男女共に言えることですが、チーム力での強さを作り上げていくこと考える必要があると思います。

 日本のトップ選手にかかる負担というものはあるので、そこに頼り切らず総合力を上げることが、信頼を得ている添田君だからできることだと思います。添田君自身がそうだったように、単複でプレーできる選手を育てるのも、チーム力を上げる1つではないでしょうか。

 女子の監督は愛ちゃんです。本当に大変だと思うので、頑張ってほしいですね。女子選手の場合は、信頼できることも大切ですが、加えて平等であること、そして平等性の中の特別感を求めます。これがないと多分ダメなんですよ(笑)。

「平等性の中の特別感」――。相反することですが、女性ならなんとなく納得できるでしょう。例えば大会中にどれだけ試合を見て状況を理解してくれているか、だけどそれなりの距離感は必要。他にも選手は1年中ツアーを回って転戦しています。グランドスラムやBJK杯がある前の結果だけを見て判断されると納得がいかなかったりします。
 
 土橋登志久監督は極力全部のグランドスラムを見に行っていましたが、愛ちゃんになったら、選手との信頼感を育てる別の方法を見いだしていくことも必要かもしれません。また、土橋監督の時は、(大坂)なおみちゃんが当時、国籍をアメリカか日本かを選択する時期でした。ですので、日本の国籍を選択してもらうためにどうサポート体制を提供し、育て上げるかに集中していました。

 今後はなおみちゃんに日本代表として出てもらうのかどうか。絶対的な存在を必要と考えるのか、若手のチーム力を育てていくのか。私の考えですが、今は現実として若い選手が育ってきていないので、若手選手を育てる方向にエネルギーを注ぎつつ、強い女子チーム力を付けていくべきだと思っています。

 選手たちが日本代表として出場することを前向きに考えるようになるためには、ツアーの中で何ができるかを示す必要があるでしょう。例えば、なかなか個人ではおぎなえない人的なサポートは良いと思います。トレーナー、マッサージ、メンタル、食事など。

 コーチはチームとしてお願いできても、それ以外の部分までサポートしてくれる体制を1人で、それも100位に入る前に整えるのは大変です。コーチがいない場合は、スポット的にツアーに帯同して、遠征先でも高いレベルの練習ができるようにするのもプラスになるでしょう。

 テニスは個人プレーなのでどうサポートするかは難しい部分ではあり、それは昔から変わりません。しかし、選手のランキングアップが結果的に日本代表を強くすることにつながっていきます。新監督には、今までの形にこだわらずに、自分のスタイルを見つけて新しい日本代表を作り上げてほしいと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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