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海外テニス

ルブレフがけいれんしながらも最終戦を白星スタート「プレーを続けなければ、と自分に言い聞かせた」<SMASH>

中村光佑

2022.11.15

勝利の雄たけびを上げるルブレフ。同郷メドベージェフとの大接戦を制した。(C)Getty Images

勝利の雄たけびを上げるルブレフ。同郷メドベージェフとの大接戦を制した。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」(11月13日~20日/イタリア・トリノ/ハードコート)は、現地11月14日にラウンドロビン(グループリーグ)初戦を実施。第6シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア/世界ランク7位)が第4シードのダニール・メドベージェフ(ロシア/同5位)を6-7(7)、6-3,7-6(7)の逆転で下し、白星スタートを切った。

 同郷の幼馴染で、ジュニア時代から何度も対戦しているメドベージェフに対し、ツアー公式戦では、過去1勝4敗と負け越していたルブレフ。だがこの試合では、もどかしい展開が続く中で驚異の集中力を発揮し、大激戦の末に勝利をもぎとった。

 立ち上がりから試合を優勢に進めるルブレフは、第4ゲームで先にブレークに奪い、5-2とリードを広げる。ところがここからメドベージェフの逆襲を食らい、3ゲーム連取を許してタイブレークへ突入。順調にポイントを積み重ねたにもかかわらず4つのセットポイントを逃し、大逆転で第1セットを落としてしまう。

 第2セットに入ると、厳しい状況に立たされながらも集中力を切らさないルブレフは、角度をつけたサービスを軸に主導権を確保。ストローク戦でも、強弱をつけてメドベージェフのリズムを狂わせ、第3ゲームでブレークに成功。そのリードを守り切ってセットオールに持ち込む。

 勝負のファイナルセットは両者一歩も譲らず、この日2度目のタイブレークへ。ここでも粘りを見せるメドベージェフに4度マッチポイントを凌がれたものの、最後は得意のフォアハンドのウィナーで試合を締めくくった。
 
 今季もツアー4勝を挙げるなど1年を通して安定した成績を残し、キャリア3度目となるファイナルズ出場を果たした25歳のルブレフ。

 その一方で、今年2月に始まった母国のウクライナ侵攻に複雑な心境を抱き続ける彼は、かねてから自身が持つ影響力を恐れることなく反戦の意を示してきた。優勝を飾った2月のドバイ選手権の準決勝終了後に、中継カメラのレンズへ「戦争はやめて」と記したシーンはファンの記憶にも新しい。

 そしてこの日も、タフな試合を勝ち切ったルブレフは中継カメラのレンズに「peace(平和)」の5文字を上から3つ並べ、続けて「それ(平和)は私たちが必要としているものだ」とサインした。

 その直後に応じたオンコートインタビューでは、「最後のタイブレークはすごかった。30回のラリーがあった時、僕はもうけいれんしていた」と明かしつつも、「もう1度プレーを続けなければ、と自分に言い聞かせた。そして、最終的に勝つことができた」とホッとした表情を見せながら喜びを語った。

 現地11月16日に行なわれるラウンドロビン第2戦では元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現8位)と対戦するルブレフ。初の決勝ラウンド進出に向けて厳しい戦いが続くが、次戦も勝利を期待したい。

文●中村光佑

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