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海外テニス

世界53位が審判台にラケットを叩きつけ失格処分に! ボールマークを確認しない主審に「降りてこないのか!」と激高<SMASH>

中村光佑

2023.05.25

反スポーツマンシップ行為により失格となったイーマー。ラケットを審判台に激しく打ち付けてしまった。(C)Getty Images

反スポーツマンシップ行為により失格となったイーマー。ラケットを審判台に激しく打ち付けてしまった。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「リヨン・オープン」(5月21日~27日/フランス・リヨン/クレーコート/ATP250)に出場した世界ランク53位のミカエル・イーマー(スウェーデン)が、試合中にラケットで審判台を叩きつけるという暴挙に出てしまい、失格処分を課される信じられない事態が発生した。

 事件が起こったのは現地5月24日に行なわれたシングルス2回戦。地元勢のアルトゥール・フィス(フランス/112位)と対戦したイーマーは5-5で迎えた第1セット第11ゲームのサービスで30-30と競り合う。そして2ndサービスに対するフィスのリターンがサイドラインギリギリに落ちると、イーマーはこれをフォアハンドで何とか返すもバランスを大きく崩し、ボールは大きくアウト。30-40とフィスにブレークポイントを握られてしまう。

 するとイーマーは「今のリターンはアウトだった!」と主審にボールマークのチェックを求めたが、主審は拒否。審判台から降りようともしない主審にイーマーは怒りを爆発させ、「審判台から降りてくるつもりはないと言っているのか! マークを見てくれ! じゃああんたは向こう(相手コート側)にボールのマークがあっても、そこに行ってチェックするつもりはないと言うんだな? 主審が椅子から降りてきてマークをチェックするつもりはないなんて言うのは見たことがない!」と猛抗議した。

 懸命の抗議もむなしくそのまま試合は再開され、結局イーマーはフィスに痛恨のブレークを献上してしまう。その直後だった。怒りの収まらないイーマーはチェンジエンドの際に手に持っていたラケットで審判台の側面を2度強く叩きつけるという行動に出たのだ。会場から大きなブーイングが巻き起こる中でベンチに腰掛けたイーマーの元に大会側担当者が向かい、反スポーツマンシップ行為による失格を宣告。イーマーはフィスと握手を交わし、会場を後にした。
 
 海外メディア『UBITENNIS』によると、今回イーマーが猛抗議を行なったのは、23日のリシャール・ガスケ(フランス/50位)との1回戦におけるあるシーンが関係している。同ラウンドではイーマーの打ったサービスがラインぎりぎりを捉え、次のポイントの準備をしようとして反対サイドに歩き出したガスケがボールマーク確認を要求したところ、それが認められた場面があったというのだ。この事実を踏まえた上でイーマーは主審が自分の主張を認めなかったことに納得がいかなかったようだ。

 なお思わぬ形でベスト8に進出したフィスは試合後の会見で、危険行為に走ってしまった対戦相手を以下のように擁護した。

「イーマーを責めないでほしい。彼はコート外では私の友人で、素晴らしい人だ。彼は来年またリヨンに戻ってくるだろうし、みんなが彼をサポートするだろう。こういった問題は起こるものだ」

 危険行為による失格処分と言えば、昨年2月のメキシコ・オープン(ATP500)でアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/現27位)がラケットを審判台に打ち付け、大会追放となったことが記憶に新しい。結果的にズベレフは約40,000ドル(約463万円)の罰金を科され、同大会での獲得賞金31,570ドル(約365万円)とポイントも全て没収されている。おそらくイーマーにも何らかの追加制裁が課されることは間違いないだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】「その判定、ちょっと待った!」試合で見かけるトップ選手と審判の熱いやりとり
 
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