11月30日、福岡・小倉（北九州メッセ）で行なわれたスケートボード・ストリートの国際大会「ワールドスケートボードストリート2025 北九州 ― グランドファイナル ―」女子決勝で、熊本県出身の13歳・松本雪聖（いぶき）が初優勝した。２位には織田夢海（ゆめか）、３位にはパリ五輪オーストラリア代表のクロエ・コベルが続き、ハイレベルな戦いとなった。

　大会後に松本は「最後のトリックは、自分でも決まると思わなくてびっくりして、とても嬉しかった」と笑顔。バックリップに回転系の技を組み合わせた「フリップバックフリップ」を成功させ、自身も驚くほどの会心のメイクだった。

　松本はランで73.26点を記録。その内容について、本人は「１本目をフルメイクしたとき（点数が）危なかったので、２本目はコーチと話して、メダルを取りにいくためにレベルを上げるしかないなって思いました」と思い切った判断の裏側を明かした。
  　さらにベストトリックでは、コースに設置された赤い縁石に挑戦。フリップからの「ノーズグラインド」を成功させると、87.25点の高得点を獲得した。松本はこの大技について「（今年６月のWST）ローマで何回もコケて、痛い思いしてる技なので、怖くて本当にできるか不安だったから、思いっきり気合入れてどうなってもいいから乗ることだけを考えました。そこだけを意識して、あとは着地だけなんで。頑張って耐えました」と振り返った。

　さらに「他の人が使わないとその分、点数が跳ね上がるので、そこを狙ってみました（赤い縁石の）あの高さとレッジ（縁石）が短いので、その分ちゃんと正確に（板のノーズ部分を）かけないとコケてしまうので、ホントにそこだけ」と戦略性もにじませた。

　観客席からは「自分が思ってた以上に反応してくれてとても嬉しかった」と語る松本。さらに、３年後に迫るロサンゼルス五輪を見据え、「これからもイベントや大会がこんな風に...」と語り、競技人気のさらなる高まりに期待を寄せた。

　そんなファンについては「今さっきの表彰台の時にもいましたし、上から応援してくれる子とか、大人の人でもたくさん応援してくれてとても嬉しかった」と感謝の気持ちを口にした。

　13歳にして世界大会初優勝。危険と隣り合わせの中も、果敢にトライし続け、攻め抜く姿勢と戦略眼が金メダルを手繰り寄せた。

取材・文●栁下大護（THE DIGEST編集部）

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