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バレーボール

【現地発コラム】イタリア・セリエA、ヴェロバレー・ミラノが佐藤淑乃を獲得した理由「首脳陣が心を奪われた2時間5分」

THE DIGEST編集部

2026.04.04

NECレッドロケッツ川崎からミラノへの移籍が決まった日本代表の佐藤淑乃。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

NECレッドロケッツ川崎からミラノへの移籍が決まった日本代表の佐藤淑乃。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 佐藤淑乃に魅了されたのはバンコクだった。昨年のFIVB女子バレーボール世界選手権。その想いは大会が進むにつれて募り、そしてある瞬間に一気に恋に落ちた。

 2025年9月7日、3位決定戦、日本対ブラジル戦。結果はご存知の通り、2-3(12-25、17-25、25-19、29-27、16-18)のフルセットで日本が敗戦。最悪の形で終わった。しかし、その試合で佐藤は34得点を叩き出した。

 内訳はアタック29点、ブロック2点、サービスエース3点。彼女がその才能を見せつけた実質2時間5分の間に、ミラノの首脳陣は完全に心を奪われた。

 この日、スタンドにはヌミア・ヴェロバレー・ミラノの会長アルド・フマガッリとクラウディオ・ボナーティSDがいた。ボナーティはかつてイタリア代表として(キャップ数50)、1997年欧州選手権銅メダル、1995年福岡ユニバーシアードでも銅メダルを獲得している元選手でもある。

 ミラノの首脳陣は、まさにその場で即決した。試合終了直後、佐藤のイタリア人代理人マッシモ・トマリーノ(彼も1990年代から2000年代初頭にかけてセリエA1でプレーし、1995年にはパルマでCEVカップを制覇した)にコンタクトを取り、その後の話し合いを経て契約合意に至った。

 来シーズンから佐藤がプレーするミラノは、プレーオフ決勝に勝ち残っており、現在7連覇中の強豪クラブ、コネリアーノと対戦する。

 迎える2026-27シーズンは佐藤にとって大きな責任を背負う、大きな挑戦の年となるだろう。NECレッドロケッツ川崎を離れるのは、決して容易な決断ではなかったはずだ。

 それでも移籍を選んだのは、この選択に成長への道筋を見出したからに違いない。ヨーロッパのバレーボールは日本とは違う。それは彼女もよく理解している。相手ディフェンスの中に突破口や隙を見つけるのは多少簡単になるかもしれないが、ブロックには、はるかに厳しくなる。

 だが、その面で向上することこそが、自分自身にとっても、そして代表チームにとっても非常に役立つことを、彼女は知っているのだ。

 
 一方ミラノは、今シーズンの結果にかかわらず、佐藤の加入がチームを大きく飛躍させると確信している。佐藤は完成度の高い選手で、ミラノから今シーズン終了後にベルガモへ移籍するエレーナ・ピエトリーニの後継者として期待されている。

 ミラノの現在のアウトサイドヒッターは、ピエトリーニの他にアメリカ人のカリア・ラニア(覚えているだろうか、父は1970年代から80年代にかけてNBAデトロイト・ピストンズやミルウォーキー・バックスでセンターを務めたボブ・ラニアである)と、今シーズンの新星となったレベッカ・ピーバである。

 だが、この二人も両方ともミラノに残るとは限らない。フェネルバフチェ・イスタンブールとのトレードの話が進んでおり、ミラノはどちらかひとりを放出し、代わりにブラジルのアナ・クリスティーナを獲得する意向だ。最終的にどうなるかはわからないが、佐藤がクリスティーナと対角を組む可能性は十分にある。その場合、非常に強力なチームの軸となるだろう。

 ミラノはイタリアどころかでも世界でも屈指の強さを持つ可能性を秘めている。攻撃の要であるオポジットに主将パオラ・エゴヌがいる。彼女は世界最高の選手だ。ミドルブロッカーにはイタリア代表主将のアンナ・ダネージがいて、セルビアのヘナ・クルタギッチもいる。セッターはフランチェスカ・ボージオだ。

 そして忘れてはならないのがリベロのエレオノーラ・フェルシーノ。イタリア代表で偉大なるモニカ・デ・ジェンナーロの後継者となるべき存在だ。守備とレシーブ能力が際立っており、隣でレシーブを担う佐藤にとって心強い味方となるだろう。

 今季のクラブシーズンはまもなく終了し、代表戦のネーションズリーグに突入する。それまでには、ミラノがイタリア王者になれるか、それとも“呪い”が続くのかが分かるだろう。

 というのもミラノの街のバレーチームは、男女を問わず一度もイタリア王者になったことがないのだ。もちろん今シーズンにそれを達成できれば、佐藤は加入早々スクデット付きのユニホームを着て戦うことになる。

 そしてもし、今年優勝できなければ、その呪いを打ち破るのは佐藤自身の役目となる。

文●マリオ・サルビーニ(ガゼッタ・デロ・スポルト紙記者)
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
マリオ・サルビーニ(Mario SALVINI)/イタリア大手スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』記者で、野球やソフトボール、F1、フォーミュラE、MotoGP、バレーボール、ビーチバレーなどを担当。2025年のバレーボール世界選手権を現地で取材した。

【画像】佐藤淑乃の最新投稿! 和田由紀子と水族館へ「次はどこに行こうか??」
 
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