『超RIZIN.5』(9月10日、京セラドーム大阪)での朝倉未来vs青木真也戦は、近年でも屈指の名勝負となった。
テイクダウンからバックと攻め込んだ青木が腕十字を仕掛けたところで未来が切り返し、パウンド連打で逆転KO。スリリングな展開と劇的なフィニッシュに加え、背景には豊かなドラマ性があった。
大晦日に敗れた朝倉未来の再起というだけではない。敗れた青木も、単なる“未来の対戦相手”ではなかった。PRIDEで出世し、後継団体DREAMではエースとして団体を背負った。ただ、この2団体の流れをくむRIZINには旗揚げイベントに出場したのみで、この10何年あまりONE Championshipを主戦場にしてきた。
そんな青木が、旧知のスタッフもいるRIZINに戻ってきた。朝倉兄弟が中心となって開拓してきた日本格闘技の新時代を遠くから眺めていたようなオールドファンも戻ってきた。
エモーショナルな舞台、青木が選んだセコンドは自分より若い3人の選手たちだった。1人はRIZINで活躍する鹿志村仁之介。青木に憧れ、青木と同じように独創的な寝技を武器とする。もう1人はDDTのプロレスラー、上野勇希。格闘技経験はないが、だからこそなのか青木がDDTに参戦すると信奉するようになった。3人目はエル・リンダマン。新興プロレス団体GLEATのシングル王者だ。プロレスラー2人という異色の布陣は、青木の今の軸足がプロレスにあることを示している。
リンダマンは柔道出身。強豪校、足立学園で寝技を磨いた。少年時代、PRIDEで青木がヨアキム・ハンセンをフットチョークで仕留めた試合に衝撃を受けたという。
一昨年、UWFルールで青木と対戦。それを機に青木と格闘技の練習をするようにもなった。今回のセコンドは、リンダマンからの申し出だったという。最初はチケットを買っていたが、より踏み込んでいった。
畏れ多い気持ちもあったのだとリンダマン。GLEATの鈴木裕之社長とも相談し「(本名の林悠河ではなく)エル・リンダマンとして」セコンドにつきたいと青木に伝えた。プロレスラーとして、GLEATのチャンピオンとしてのセコンドだから意味があるというわけだ。他のセコンドが誰かは、直前まで知らなかった。
リンダマンのセコンドとしての役目は、技術的な指示、アドバイスではなかった。それは鹿志村がすることだし、もしかすると青木のようなベテランには不要かもしれない。プロレスラーとしての言葉で、エル・リンダマンとしてのスタンスで青木を鼓舞することが大事だったはずだ。
「青木さんは『カッコいい背中を見せたい』と言ってましたね。そう思うことで頑張れると。僕はそんな青木さんに『一番カッコいいのは勝つ姿ですよ』と背中を押したかった」
ただ、それが思うようにできたとは言えなかった。後悔が残っているとリンダマンは言う。
「格闘技にリスペクトがあるだけに、雰囲気に負けてしまった感じがありました。格闘技のプロ、そのバックステージに負けたというのか。本来なら控室にいる時に場を明るく和ませるのも自分の役目。それができなかったですね。上野選手はできていた。いい意味で格闘技を知らないから、純粋にプロレスラーとして青木さんに向き合えてましたね」
青木の試合が近づくと、リンダマンは自身の試合用コスチュームに着替えた。
「このままじゃ難しい、勝負できないと思ったんです」
自分の気持ちを作ってRIZINに、青木に向き合った。それでも青木と鹿志村、上野のつながりの中に深く入っていけない自分を感じた。
青木は敗れた。負けも含めてドラマを見せるのがプロレスラーだが“プロレス”を言い訳にせず、完敗を認めた。だからこそ今回の青木はプロレスラーの言葉でいうグッドルーザー(よき敗者)だったのではないかと筆者は感じた。
もちろんセコンドとしては勝たせるのが仕事だ。リンダマンにとっては後悔の残る経験になってしまった。
テイクダウンからバックと攻め込んだ青木が腕十字を仕掛けたところで未来が切り返し、パウンド連打で逆転KO。スリリングな展開と劇的なフィニッシュに加え、背景には豊かなドラマ性があった。
大晦日に敗れた朝倉未来の再起というだけではない。敗れた青木も、単なる“未来の対戦相手”ではなかった。PRIDEで出世し、後継団体DREAMではエースとして団体を背負った。ただ、この2団体の流れをくむRIZINには旗揚げイベントに出場したのみで、この10何年あまりONE Championshipを主戦場にしてきた。
そんな青木が、旧知のスタッフもいるRIZINに戻ってきた。朝倉兄弟が中心となって開拓してきた日本格闘技の新時代を遠くから眺めていたようなオールドファンも戻ってきた。
エモーショナルな舞台、青木が選んだセコンドは自分より若い3人の選手たちだった。1人はRIZINで活躍する鹿志村仁之介。青木に憧れ、青木と同じように独創的な寝技を武器とする。もう1人はDDTのプロレスラー、上野勇希。格闘技経験はないが、だからこそなのか青木がDDTに参戦すると信奉するようになった。3人目はエル・リンダマン。新興プロレス団体GLEATのシングル王者だ。プロレスラー2人という異色の布陣は、青木の今の軸足がプロレスにあることを示している。
リンダマンは柔道出身。強豪校、足立学園で寝技を磨いた。少年時代、PRIDEで青木がヨアキム・ハンセンをフットチョークで仕留めた試合に衝撃を受けたという。
一昨年、UWFルールで青木と対戦。それを機に青木と格闘技の練習をするようにもなった。今回のセコンドは、リンダマンからの申し出だったという。最初はチケットを買っていたが、より踏み込んでいった。
畏れ多い気持ちもあったのだとリンダマン。GLEATの鈴木裕之社長とも相談し「(本名の林悠河ではなく)エル・リンダマンとして」セコンドにつきたいと青木に伝えた。プロレスラーとして、GLEATのチャンピオンとしてのセコンドだから意味があるというわけだ。他のセコンドが誰かは、直前まで知らなかった。
リンダマンのセコンドとしての役目は、技術的な指示、アドバイスではなかった。それは鹿志村がすることだし、もしかすると青木のようなベテランには不要かもしれない。プロレスラーとしての言葉で、エル・リンダマンとしてのスタンスで青木を鼓舞することが大事だったはずだ。
「青木さんは『カッコいい背中を見せたい』と言ってましたね。そう思うことで頑張れると。僕はそんな青木さんに『一番カッコいいのは勝つ姿ですよ』と背中を押したかった」
ただ、それが思うようにできたとは言えなかった。後悔が残っているとリンダマンは言う。
「格闘技にリスペクトがあるだけに、雰囲気に負けてしまった感じがありました。格闘技のプロ、そのバックステージに負けたというのか。本来なら控室にいる時に場を明るく和ませるのも自分の役目。それができなかったですね。上野選手はできていた。いい意味で格闘技を知らないから、純粋にプロレスラーとして青木さんに向き合えてましたね」
青木の試合が近づくと、リンダマンは自身の試合用コスチュームに着替えた。
「このままじゃ難しい、勝負できないと思ったんです」
自分の気持ちを作ってRIZINに、青木に向き合った。それでも青木と鹿志村、上野のつながりの中に深く入っていけない自分を感じた。
青木は敗れた。負けも含めてドラマを見せるのがプロレスラーだが“プロレス”を言い訳にせず、完敗を認めた。だからこそ今回の青木はプロレスラーの言葉でいうグッドルーザー(よき敗者)だったのではないかと筆者は感じた。
もちろんセコンドとしては勝たせるのが仕事だ。リンダマンにとっては後悔の残る経験になってしまった。




