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フィギュア

フィギュア羽生結弦が空っぽのアリーナで観客席に“お辞儀”。その姿が世界中の感動を呼んでいるワケ

THE DIGEST編集部

2020.07.10

羽生は公式練習でもまばらな客席に向かって深々と頭を下げる姿が印象的。写真は昨年の全日本選手権時。写真:徳原隆元

羽生は公式練習でもまばらな客席に向かって深々と頭を下げる姿が印象的。写真は昨年の全日本選手権時。写真:徳原隆元

 元フィギュアスケーターのジョーダン・コーワン氏が、7月8日、自身が運営する『
On Ice Perspectives』に1分の動画を投稿した。動画には、二度の五輪制覇を達成した羽生結弦が、無人の観客席に向かって笑顔で頭を下げる姿がスローモーションで納められている。

 同メディアは、特殊なカメラを手にスケーターと同じ氷上を滑りながら撮影している。羽生の『パリの散歩道』は、昨年のグランプリシリーズ第2戦、カナダ大会のエキシビジョンのリハーサルの際に撮影されたもののようだ。

 観客を入れる前のスケートリンクで『パリの散歩道』を滑り切った羽生は、カメラマンのコーワン氏が見守るなか、人気のない暗い観客席に向かって二度、三度を頭を下げる。そして、拍手を送る。前後左右に挨拶を終えた羽生は、最後にカメラに向かってピースサインをし、ゆるやかに微笑んだ後、背を向ける。

 コーワン氏は、この動画について、このようなメッセージを添えている。

「満員の会場、空の会場。そのどちらであっても、プログラムの最後にお辞儀をするスケーターにとっては何も違いはない。私たちは、私たちの前にいた人たちだけではなく、私たちを支えてくれた人たちにも感謝の意を込めてお辞儀をするのです。コーチ、家族、友人、そして何千マイルも離れたところで見ているファン。今も、永遠にです」

 そして、「親愛なる放送局の皆さん」とフィギュアにかかわるメディアに対しても、メッセージを送った。

「フィギュアスケートが再開されたら、空っぽの会場を隠そうとはせずに受け入れてください。スケーターたちが、なぜお辞儀をするのかという理由を思い出させてほしい。私たちがここから見られる観客に対してだけではなく、その向こうにいる、現地で見ることができないすべての人のためなのです」

 無人の観客にも頭を下げる羽生の姿は、このメッセージの象徴であり、お手本となるべき姿だと言えるだろう。海外のファンからは、動画とメッセージに対して賞賛の声が多く寄せられた。

「彼は、神々しい美しさを放っている」
「よく言ってくれたわ、ジョーダン。ユヅルがいつも非の打ちどころのないマナー、愛すべき人柄、そして観客とスポーツへの感謝の気持ちを示していることは言うまでもない」
「彼の輝かしい功績はさておいても、ユヅは素晴らしい人物であり、お手本だ」
「うつくしい映像と、アメイジングなメッセージ」
「ジョーダンは”オジギ”のメッセージで最も正しい人物をチョイスした。ユヅの挨拶は、パフォーマンスの延長上にあるものなのよ」
「今まで真意を理解していなかった。気づかせてくれてありがとう」

 羽生の“お辞儀”に込められた想いとジョーダン氏の願いは、世界のファンの胸を打っているようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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