ゴルフ

フィリピンで腕を磨いた19歳、プロ2戦目で初優勝を飾った笹生優花の底知れぬポテンシャル

山西英希

2020.08.16

最終日に赤と黒のウェアで現われた笹生は、タイガー・ウッズのような猛チャージで優勝まで駆け抜けた。(C)Getty Images

 国内女子ツアー第2戦「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」最終日、首位と1打差の3位タイからスタートした笹生優花が、1イーグル、7バーディ、ノーボギーの63(コースレコードタイ)で回るという圧巻のゴルフを展開。通算16アンダーで、ツアー初優勝を飾った。

 黒いキャップに赤いポロシャツ、黒のズボンとまさにタイガー・ウッズを彷彿とさせるような出で立ちでスタートホールのティグラウンドに現れた笹生だが、この日のプレーはまさに本家を思わせるチャージを見せた。

 昨年第1子を出産し、今大会がツアー復帰2戦目となった若林麻衣子が前半に4アンダーをマークする猛チャージをかける。後半もスコアを4つ伸ばし、ついにはトーナメントリーダーに立ったが、その座をあっさりと奪ったのが19歳の笹生だった。アウトの9ホールで若林を上回る5アンダーをマークすると、10番パー4でも約4メートルのバーディパットを沈めて単独首位に立つ。さらに14番パー4でも約5メートルを沈めて2打差に広げた後、迎えたのが16番パー5だ。
 
「17番パー3は難しいので、ここでイーグルを奪えばボギーを叩いても大丈夫かなと思っていました」という笹生。ドライバーの平均飛距離は250~260ヤードというが、フォローに乗ったティショットはなんと283ヤード地点に止まる。小さい頃から飛距離アップを目指し、下半身を鍛えていた成果が、大事なところで形となって表れた。残り195ヤードを6番アイアンで放ったボールはピン手前約2.5メートルに。慎重にラインを読むと、カップの右サイドから沈め、右手を握りしめてガッツポーズを見せた。この時点で2位以下に4打差をつけて勝負アリ。残り2ホールをパーで上がり、あっさりと逃げ切った。

「昨日はティショットの調子がよくなかったので、ホールアウト後に練習場で打ち込み、自信を取り戻したのがよかったです」と笑顔を見せた笹生。日本人の父とフィリピン人の母を持つが、6歳のときにフィリピンから来日し、それからゴルフを始めたという。最初は遊びの延長だったが、小学1年になったとき、テレビの中で活躍する宮里藍やポーラ・クリーマーを見るうちに、自分も将来はプロになりたいと思った。

 本格的にプロを目指したのは小3になってからだ。そのためだけに、東京よりもゴルフ環境のいいフィリピンへ戻って腕を磨いた。その後、武者修行を兼ねて16か国で試合に出場。その間、オーガスタナショナル女子アマで3位タイに入る活躍も見せ、昨年のプロテストに合格。ファイナルQTで28位に入り、今季のツアー出場権を手にした。