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eスポーツ

”ゲーム大国”のはずが…日本のeスポーツ市場はなぜ遅れているのか?答えは「ゲーム文化の違い」にあり

龍田優貴

2020.10.12

 MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)やFPS(ファーストパーソンシューター)をはじめ、競技性の高いゲームジャンルを題材に対戦相手と競い合う……それが”eスポーツ”である。その市場規模はここ数年、急激な成長を遂げている。「Global Esports Market Report 2020」(Newzoo)によれば、2023年度の時点で収益規模は約1700億円に到達する模様だ。

 しかし地域別の規模感を参照すると、中国とアメリカが二強として存在感を放つ一方、日本のeスポーツ市場はまだまだ小さいと言わざるを得ない。というのも、2019年時点の日本の市場規模は約61億円。国内市場が目覚ましい成長を遂げているのは事実だが、他国より抜きん出てeスポーツシーンを牽引しているとは必ずしも言えないだろう。

 なぜ国内eスポーツ市場は海外と比べて規模感が小さいのか?「ゲーム大国日本」と言われているのに、なぜeスポーツは出遅れているのか? 今回はゲーム市場やゲームに対するユーザーの向き合い方などに焦点を合わせ、国内eスポーツ市場が遅れを取っている理由について解説する。
 
 まずはゲーム市場そのものに注目してみたい。「ファミ通ゲーム白書2020」(ファミ通)によると、2019年の世界ゲームコンテンツ市場は15兆6898億円とされている。日本単体で見た場合だと1兆5000億円となっており、世界市場においても決して引けを取っていない。10年連続で拡大言わば”ゲーム大国”と言って良い動向である。

 では、ゲームユーザーが興味を示すプラットフォームはどうだろう。同じくファミ通ゲーム白書2020には、”2019年のゲーム人口(4793万人)のうち、アプリゲーム(スマートフォン向けアプリ)のユーザーは微増”と置きつつも、”家庭用ゲームユーザーとPCゲームユーザーは減少”と記してある。家庭用ゲームユーザーは約2200万人、PCゲームユーザーは1330万人。”家庭用ゲーム機とPCの両方でゲームプレイに興じている”ユーザー層がいたとしても、両データの差は明白だろう。

 ここで抑えておきたいのは、国内ゲームユーザーの周辺事情。世界のeスポーツシーンで特に活況なのは、『League of Legends』や『 Counter-Strike: Global Offensive』といったPC専用ゲームタイトルが多い。この傾向は今に始まったことではなく、eスポーツ黎明期の1990年代末の時点から既に顕著であった。
 

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