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マラソン・駅伝

瀬古利彦氏がマラソン五輪代表に自信!日本記録の鈴木と「同じぐらいで走ればメダルは取れる」

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.05.11

鈴木健吾の好走から、五輪日本代表に自信を深める瀬古氏。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

鈴木健吾の好走から、五輪日本代表に自信を深める瀬古氏。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 2月の『びわ湖毎日マラソン』で新たな日本記録が誕生した。25歳の鈴木健吾が、東京五輪代表である大迫傑の日本記録(2時間5分29秒)を33秒塗り替える2時間4分56秒で走ったのだ。

 2018年の東京マラソンで、設楽悠太が2時間6分11秒としたのを皮切りに、大迫傑が2018年のシカゴマラソンで2時間5分50秒、さらに2020年東京マラソンで2時間5分29秒をマーク。そして2021年2月、鈴木が初の2時間4分台を叩き出した。

「わずか3年で1分15秒縮めて2時間4分台まできちゃった。私的には、2時間5分の卒業はバリオリンピックの前ぐらいかと思っていたけどね」と明かすのは日本陸上競技連盟のマラソン強化・戦略プロジェクトリーダーを務める瀬古利彦氏だ。「非アフリカ系では初めてというぐらい偉業なわけですよ」と事の凄さを説明する。

 ただ、鈴木が夢の2時間4分台に突入したことを称えた一方、それでも「大迫選手たちの方が実力は上」だと瀬古氏は言う。最後の五輪出場切符を争うプレッシャーの中、東京マラソンで2時間5分29秒で駆け抜けた実績を評価し、「格からしたら全然大迫選手の方が上ですよ」とも強調した。

 気温や風などの気象条件に恵まれた中でのびわ湖毎日マラソンに、仮に東京五輪代表の大迫や服部勇馬、中村匠吾が参加していれば、「同じぐらいで走ってますよ。力的に彼らが劣ってるとは全然思わないし、あれぐらいの走りは、あのメンバーは皆できると思ってる」というのが瀬古氏の見方だ。
 
 新型コロナウイルスの影響で五輪が延期となり、緊張感が途切れているタイミングでの日本記録は、代表選手たちの刺激にもなったという。

「彼ら(代表選手)も走る意欲が沸いたと思いますよ、勇気づけられたというか。最後の5キロを14分20秒ぐらいで(海外勢に)走られても全然ついていけると思ったのでは。最後の5キロを鈴木選手と同じぐらいで走ったら、メダルは取れますよ」

 さらに瀬古氏は「2時間3分台は夢じゃない」と、長距離界の先を見据えた。

 鈴木の「2時間4分56秒」は1キロあたり2分57秒。1秒上げて2分56秒で走れば、2時間3分が見えてくるのだ。

 瀬古氏の理想は、昨年12月の『日本選手権』の10000メートルのような競り合うレースになることだ。「10人ぐらいの選手で行けば記録は出ますよ。ひとりだったら不安になるけど、こんなにいるんだと思ったら皆行けるんだよね」とランナーならではの心理を語ったレジェンドは、「2024年のパリオリンピックの前に2時間3分台近くが出るのでは」と日本の未来に想いを馳せていた。

取材・文●山本祐吏

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