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「100m決勝でメダルを獲れた?」“アジア最速男”蘇炳添がその問いかけにキッパリ回答!「可能性はなかったんだ」【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.17

アジア最速の9秒83を叩き出した蘇炳添。記録はまだ伸ばせると自信を覗かせた。

アジア最速の9秒83を叩き出した蘇炳添。記録はまだ伸ばせると自信を覗かせた。

 アジア最速男は「みんなの期待が高すぎるんですよ」と言って笑った。

 8月1日、東京五輪の陸上男子100メートルで度肝を抜いたのが、中国の蘇炳添だった。準決勝3組でロケットスタートを成功させると、グングンとスピードを上げてトップでゴールイン。自身が持つアジア記録の9秒91を大幅に更新する9秒83を叩き出し、国立競技場に咆哮を轟かせた。

 メダル奪取への期待が高まったが、決勝では思ったようにタイムは伸びず、9秒98の6位でフィニッシュ。優勝したラモントマルチェル・ヤコブス(イタリア)が9秒80、2位のフレッド・カーリー(アメリカ)が9秒80、そして3位のアンドレ・ドグラス(カナダ)が9秒89というタイムだった。蘇炳添は準決勝でヤコブスを破っており、レース後には「準決勝のタイムを出せばメダルを獲れた」との意見が多く寄せられたが、当の蘇炳添は「その可能性はなかった」とやんわり否定する。

 現地8月16日、中国国営放送『中国中央テレビ』のトーク番組にリモート生出演した蘇炳添が、東京五輪での一大決戦を振り返った。難しかったのは、準決勝と決勝の間のコンディション調整だったと話し、「準決勝から決勝まで3時間もなかったんだ(正確には2時間半)。着替えたり食事したりで休む間がほとんどなくて、30分前には集合しなければならなかった」と明かした。

 そのうえで、準決勝3組には「金メダル候補がふたりもいたからね。だから私にとっては、準決勝が決勝のようなものだった」とコメント。「全力を出し切らないと決勝に進めないと感じていたから、すべての力を出し切ったよ。正直、あそこまでの好タイムが出るなんて夢にも思ってなかったけどね(笑)」と回顧した。

 ここでインタビュアーが「準決勝のタイムなら決勝でもメダルを獲れていたでしょう?」と投げかけると、蘇炳添は「たしかに(あのタイムなら)獲れていた。でも、その可能性はなかったんだ」とキッパリ。「準決勝を終えた時点で、決勝でメダルを獲れるほどの余力が私の中に残っていなかった。これが真実だ。あの舞台で結果を出すには、個人の能力だけじゃなく、環境に適応する総合的な力が求められるんだ。ただ自分の力を出し切るという当日の目標は達成できたし、素晴らしいふたつのレースができて満足している。まあ、みんなの期待が高すぎたんだよ(笑)」と、率直な想いを吐露した。
 
 では、3年後のパリ五輪を目ざすのか。現在、年齢は31歳だ。

「そんなに先のことまで考えられない。1年1年、積み重ねながら考えていくことになるだろうし、2023年に走れる状態なら、2024年にもチャレンジできると思う。でなければ、その前に競技を終えるかもしれない。ただ私自身は、9秒83からまだタイムを伸ばせるんじゃないかと考えている。アジア人にだって限界はない。いまは強くそう感じているよ」

 中国のみならず世界をあっと驚かせた蘇炳添。いまやアジアのスポーツ界が誇るスーパースターとなったが、驕り昂ることなく、冷静に足下を見つめていた。

構成●THE DIGEST編集部

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