F1とMotoGPという4輪と2輪の世界最高峰を戦うサムライ、スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅とLCR・ホンダ・出光の中上貴晶が、日本から遠く離れたイタリアの地で初対面を果たした。
顔を合わせたのはMotoGP・第14戦サンマリノGPが行なわれたミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリにほど近い、6月から角田が居を構えるファエンツァ。まずはアルファタウリのファクトリーに中上を招き入れ、21歳のF1ルーキー自ら2020年型のF1マシン「AT01」やボタンがいっぱい付いたステアリングなどについて説明。
続いて角田が走らせるホンダ NSXでカートコースへと移動し、4輪と2輪の日本人エースによる1対1のカート対決が行なわれた。
12周にわたったレースでは、しばしば中上を先行させるなど、角田は見せ場を演出。普段、激しいプレッシャーにさらされる者同士、束の間の時間を共有し、意気投合したようで、「カートに乗るのは久しぶりだったんですが、タカ選手とのカート対決はすごく楽しめました。バトルの場面でもドライビングがうまくて驚かされました。生身の人間がバイクに乗って350km/h以上のスピードで走るMotoGPを初めて観られるのは楽しみです。可夢偉選手以来、7年ぶりのF1ドライバーになれたことはラッキーだと思いますし、楽しみにしていた日本GPが中止になって残念ですが、来年、鈴鹿で走れることを祈って、頑張っていきたいですね」と角田。
一方の中上は「今回、裕毅くんと初めて会って、カート対決をしたんですが、楽しめて良かったです。僕はカート経験が少なく、どうしてもどこでスピードを緩めて、どこで加速させてっていうのがよくわからないので、常に全力で走ってたんですが、レースが終わった後にちょっと話を聞いたら"コーナーの次の長いストレートを全開で駆け抜けられるように心がけてる"っていうので、自分にとって勉強になる部分もありました」とお互いに大いに刺激を感じたようだ。
また、レース後にはモダンな寿司店で一緒に食事を楽しんだ。
その数日後に開催されたサンマリノGPに今度は角田が来訪。中上だけでなく、先日、引退を表明したMotoGP界の"生ける伝説"ヴァレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハ・SRT)や通算8回の世界チャンピオンに輝くマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)と交流し、「初MotoGP! 凄い経験をさせてくれたLCR・ホンダ・チームに感謝です!!」と自身のSNSに興奮気味のコメントを残している。
今シーズン、念願のファクトリー・マシンを手にした中上は、このレースを10位完走。「ベストを尽くしましたが、上位で戦えるスピードが足りませんでした。F1ドライバーの裕毅くんが来てくれました! ありがとう!!」と綴ったが、第4戦スペインGPの4位がベストリザルトと昨年ほぼつかみかけていた初表彰台まであと少し手が届かないもどかしい結果が続いている。第11戦ハンガリーGPの6位がキャリアハイ、14戦を終えた段階で入賞5回と必ずしも前評判通りの実力を発揮しているとはいえない角田が置かれているのも似たような状況だろう。
現在29歳の中上は今季が複数年契約の1年目、角田も2022年のアルファタウリ残留が決定し、ともにすぐシートを脅かされるような立場ではないが、いつどうなるかわからないのがモータースポーツ界、一部海外メディアからの厳しい声を跳ね返し、シーズン終盤に向け、日本が誇るライジングスターふたりにもっと存在感を示してほしいところだ。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
【関連画像】「初MotoGP! 凄い経験」と角田裕毅が興奮!観戦当日の様子をチェック
顔を合わせたのはMotoGP・第14戦サンマリノGPが行なわれたミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリにほど近い、6月から角田が居を構えるファエンツァ。まずはアルファタウリのファクトリーに中上を招き入れ、21歳のF1ルーキー自ら2020年型のF1マシン「AT01」やボタンがいっぱい付いたステアリングなどについて説明。
続いて角田が走らせるホンダ NSXでカートコースへと移動し、4輪と2輪の日本人エースによる1対1のカート対決が行なわれた。
12周にわたったレースでは、しばしば中上を先行させるなど、角田は見せ場を演出。普段、激しいプレッシャーにさらされる者同士、束の間の時間を共有し、意気投合したようで、「カートに乗るのは久しぶりだったんですが、タカ選手とのカート対決はすごく楽しめました。バトルの場面でもドライビングがうまくて驚かされました。生身の人間がバイクに乗って350km/h以上のスピードで走るMotoGPを初めて観られるのは楽しみです。可夢偉選手以来、7年ぶりのF1ドライバーになれたことはラッキーだと思いますし、楽しみにしていた日本GPが中止になって残念ですが、来年、鈴鹿で走れることを祈って、頑張っていきたいですね」と角田。
一方の中上は「今回、裕毅くんと初めて会って、カート対決をしたんですが、楽しめて良かったです。僕はカート経験が少なく、どうしてもどこでスピードを緩めて、どこで加速させてっていうのがよくわからないので、常に全力で走ってたんですが、レースが終わった後にちょっと話を聞いたら"コーナーの次の長いストレートを全開で駆け抜けられるように心がけてる"っていうので、自分にとって勉強になる部分もありました」とお互いに大いに刺激を感じたようだ。
また、レース後にはモダンな寿司店で一緒に食事を楽しんだ。
その数日後に開催されたサンマリノGPに今度は角田が来訪。中上だけでなく、先日、引退を表明したMotoGP界の"生ける伝説"ヴァレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハ・SRT)や通算8回の世界チャンピオンに輝くマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)と交流し、「初MotoGP! 凄い経験をさせてくれたLCR・ホンダ・チームに感謝です!!」と自身のSNSに興奮気味のコメントを残している。
今シーズン、念願のファクトリー・マシンを手にした中上は、このレースを10位完走。「ベストを尽くしましたが、上位で戦えるスピードが足りませんでした。F1ドライバーの裕毅くんが来てくれました! ありがとう!!」と綴ったが、第4戦スペインGPの4位がベストリザルトと昨年ほぼつかみかけていた初表彰台まであと少し手が届かないもどかしい結果が続いている。第11戦ハンガリーGPの6位がキャリアハイ、14戦を終えた段階で入賞5回と必ずしも前評判通りの実力を発揮しているとはいえない角田が置かれているのも似たような状況だろう。
現在29歳の中上は今季が複数年契約の1年目、角田も2022年のアルファタウリ残留が決定し、ともにすぐシートを脅かされるような立場ではないが、いつどうなるかわからないのがモータースポーツ界、一部海外メディアからの厳しい声を跳ね返し、シーズン終盤に向け、日本が誇るライジングスターふたりにもっと存在感を示してほしいところだ。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
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