上々の演技で首位発進を飾ったロシアの偉才は、世界中からバッシングを受けている。

　２月15日に行なわれた北京五輪フィギュアスケート女子シングルのショートプログラム（SP）に、ドーピング違反が問題となっているカミラ・ワリエワ（ロシアオリンピック委員会）が出場。82・16点の１位でフリースケーティングに繋いだ。

　昨年12月のロシア選手権後のドーピング検査で禁止薬物トリメタジジンが検出されるも、スポーツ仲裁裁判所の裁定によって今大会への継続参加が承認されたワリエワ。スポーツ界を揺るがす彼女はリンク上で涙を見せたが、批判の声は増大し続けている。

　そのなかで、怒りを交えて問題に切り込んだのは、SPを８位で終えたアメリカ代表のアリサ・リュウの父親だ。

　リュウの父は、中国メディア『新浪体育』などの取材に対し、「彼女から禁止薬物の陽性反応が出たんだ。それなのに何が分からないというんだ！ 問題はハッキリしている。彼女の出場は、即刻、やめさせるべきだ」と主張。そして、語気を強めて、怒りを滲ませた。

「これは何も難しい話なんかじゃない。実にシンプルだ。地球上で最も神聖な競技をする舞台であるオリンピックに、不正な選手が出場しているんだ。これは完全にオリンピック精神を害するものだ。スポーツをする何百万人もの少年少女、とくにフィギュアスケーターを目指す子どもにどんな影響を及ぼすんだろうね」
  　CASはワリエワの出場を認めた理由について、「16歳未満で、本人が保護対象であるため」と発表。一部のメディアや識者の間では、本人に責任はないのではないかという声もあがっている。

　しかし、これもリュウの父は、「私には、『ワリエワに取り返しのつかない傷を与えるから』という説明が全く理解できない」と真っ向から否定。そして、キッパリと言い放った。

「それだったら、彼女が出ることによって、クリーンに取り組んできた選手たちが受ける取り返しのつかない傷はどうしてくれるっていうんだ。クリーンな選手たちが勝って、素直に栄光を味わう権利を剥奪しているんだ。

　15歳の少女の無知さを問う人もいるが、少なくとも私の娘は12歳の頃からドーピング検査を受け、何を摂取してはいけないかを理解し始めていた。このロシア人を見るのはつらい。明らかな不正をしていると分かっているのに、すべてのメダルを手にして消えようとしている」

　アスリートの父親として、厳しい意見を論じたリュウの父。彼の言葉に、ワリエワを擁護する人々は、何を感じるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

【北京五輪PHOTO】衣装も個性爆発！ フィギュア女子SPで演技した30人全員の華やかな姿を一挙見せ！

【北京五輪PHOTO】ショートプログラムで首位！ロシアが誇る逸材カミラ・ワリエワ

【関連記事】ワリエワの母親、弁護士が新たな主張！ 陽性判定の原因は「心臓疾患のある祖父と同じグラスを使用したこと」