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「大統領を見捨てろと言うのか!」プルシェンコがIOCバッハ会長の“戦争不支持→競技復帰”提案にあらためて反発

THE DIGEST編集部

2022.10.04

愛国心を前面に押し出すプルシェンコ氏。そのスタンスは首尾一貫している。(C)Getty Images

愛国心を前面に押し出すプルシェンコ氏。そのスタンスは首尾一貫している。(C)Getty Images

 ロシア・フィギュアスケート界が誇る“皇帝”ことエフゲニー・プルシェンコ氏が、ふたたび国際オリンピック連盟(IOC)のトップに噛みついた。

 今年2月に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻作戦を受けて、IOCは国際競技連盟や各スポーツの国際連盟に向けて制裁案を通達。ロシアおよびベラルーシ選手団を国際大会から締め出すように促し、ほとんどの連盟がこれに追随した。およそ8か月が経った現在も、ロシア・スポーツ界を取り巻く環境は厳しく、トップアスリートたちの活動はほぼ国内に限定されている。

 そんななか、バッハ会長は先週金曜日にひとつの妥協案を提示した。ドイツ出身の68歳は「決してロシアを復帰させるという意味ではないが、ロシアのパスポートを持つアスリートで、戦争を支持しない者についての競技復帰を考えていきたい」と明かし、「彼らをいつどのようにして復帰させられるのか。状況を見守り、注意深く監視していく。この一件は我々にとってジレンマであり続けているが、戦争はアスリートたちが始めたわけではない」と付け加えた。

 これを受けて、猛然と反発したのがプルシェンコ氏だった。地元メディアの取材に応えて、「誰がそんな決定を支持するものか! どうすれば我々の領土と国家の防衛から距離を置けるだろうか。私を含めて、これに反対するアスリートなど国内にはいない」と突っぱねたのだ。

 さらに今週月曜日、地元メディア『Metaratings』にも意見を求められ、次のように私見を述べた。

「オリンピックに出たいからといって、この特別軍事作戦を否定し、提案を受け入れろと言うのか。我々の大統領(ウラジーミル・プーチン)を見捨てろ、国家を、領土を、資源を、そして父と母を見捨てろと言うのか。たしかに提案に前向きな意見を持つロシア人アスリートや指導者がいる。実に嘆かわしいことで、理解に苦しむよ」
 

 そして、「今大事なのは、国内で行なわれるフィギュアスケート大会の充実だ。もうすぐロシア・グランプリが始まるが、そこで我々は世界一の実力がある事実を存分に証明するだろう」と強調し、「他の国々がその現実を理解することを祈るばかりだ」と続けた。

 先日、プーチン大統領は30万人規模の部分的動員令を発動し、スポーツ大臣はアスリート総動員令とも取れるビジョンを公言した。自身に招集令状が届いたらどうするかと問われたプルシェンコ氏は「喜んで受け取るよ。私は逃げも隠れもしない」と豪語していたが、今回のインタビューでは「アスリートへの軍事訓練が必要とされるなら、我々は行かなければならない。ホンモノの男ならね」と回答している。

構成●THE DIGEST編集部

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